身体の慢性的な痛みや、姿勢の問題に悩む方は、「施術などで良くなっても、またすぐに戻ってしまい、同じことが繰り返されるんじゃないか」と考えがちではないでしょうか。
あるいは、「きつくても頑張り続けて、良い姿勢を保たないといけない」「これまで頑張ってみたけど駄目だったから変わらない」などという考えになっていることもあるでしょう。
僕も、そんな考えを持っていた一人です。
身体の痛み、違和感、思い通りにならないイライラをなんとか解消したいと、ストレッチしたり、ジムでトレーニングしたり、走ったり、本を読んで、正しい姿勢や呼吸を練習したり、色々なことを試してきました。
どれをやっても上手くいかず、余計痛くなったり、苦しくなったり、疲れきって落ち込んだり、また思いついてやってみたり…の繰り返しが長く続いていました。
そんな時に、ロルフィング10シリーズを経験し、身体の変化とともに、僕のそういった考えは変わりました。
身体は変わる。無理なく、楽に動く可能性はある。
そんなことが感じられて、身体だけでなく、自分の思い込みからも解放され、本当に楽になっていきました。
皆さんにも、そんな体験をして頂きたいと思っています。
ロルフィング®は、アメリカ人女性の生化学者アイダ・ロルフ博士(1896-1979)によって始められた「身体の再教育プログラム」です。
彼女は「健康な身体には、重力に調和した無理のないバランスがある」と考えました。
重力と格闘し続けている身体ではなく、重力とうまく関係を取りながら、楽に動けるのが本来の身体であると。
皆さんもご存知の通り、家の安定には、柱が垂直で、床が水平であることは欠かせませんね。
同じように、重力の影響をいつも受けている身体にも、重力との関係から、各部分の最適な位置、並び方があるのではないかという視点で、身体を見直したのです。
そして、筋膜という、筋肉や骨、内臓など、あらゆるものを包み、それらを一つにつなげ、形(位置)を決めている結合組織に注目しました。
筋膜は身体全体に立体的に広がり、身体の中にある全てのものを包み、つなげている、ひとつながりのものです。
人の形をした、立体的な蜘蛛の巣や、目の細かいハンモックのようなイメージでも良いかと思います。
筋膜は、ケガや偏った動き方などが原因で固くなり、本来の柔軟性が減ってきます。
そうなると、固くなった筋膜に包まれている身体の部分の動きが減り、本来の動きや機能を発揮できなくなり、最適な位置から外れます。
スムーズに動けなくなったところを補うために、無理な力を使う必要が生まれると、徐々にそこが固くなり、その影響がまた別のところに…という具合に、全身に歪みが広がります。
筋膜はひとつながりなので、どの部分に問題が起きても、程度の差はあれ、他のどの部分にも影響が及ぶということです。
彼女は、人の姿勢、身体の形を決めるはたらきを持つ、この筋膜ネットワークに、柔軟性と全体のバランスを取り戻すことで、身体の各部分が本来の位置に戻り、重力と調和した身体に戻っていくと考えました。
また、彼女は、姿勢(身体の形)に大きな影響を与えている日常動作の癖、習慣を見直し、身体本来のしくみに沿った動きを手にすることが必要だと考えていました。
同じところを繰り返し痛めるような場合、望ましいものではない習慣や癖が理由になっていることが多いからです。
同じスポーツを長年続けることで、偏った身体の使い方になり、たくさん使い続けた部分を痛めやすいのは想像しやすいですね。
同様に、日常の立ち方や座り方、歩き方などにも、ただ気付いてないだけの癖や偏りがあります。
それを無自覚に何十年と続け、身体に負担がかかっているかもしれないと想像してみて下さい。
ですから、本来の自然な動きを手にするためには、今現在、日常でどんな動き方をしていて、何が身体に起きているのかに気付くこと、そして望ましくない習慣や癖を手放すことがとても大切になります。
このように、筋膜へ働きかける手技の要素と、習慣を見直し、本来の動きを学ぶという運動の要素を組み合わせて行うのが、ロルフィングの特徴と言えます。
ロルフィングで、身体は変わること、自然体で楽に生きられることに気付き、心地の良い毎日を過ごしていけるお手伝いができると嬉しいです。