良くなった姿勢は、また戻ってしまうのか?

 

「姿勢が良くなったとしても、しばらくすれば、また同じ状態に戻ってしまうのではないか?」

ロルフィングを受ける前に、多くの方がこんな心配をされるのではないでしょうか。

やっても、結局のところ意味がないのだろう、と。

 

良い姿勢になろうと、さまざま方法で頑張りながらも、疲れて、諦めてしまった経験をお持ちの方も多いと思います。

そんな過去の体験が、これも同じではないかと思わせてしまうのですね。

 

結論から言えば、同じことにはならないと思います。

その理由を、ロルフィングの特徴を踏まえてお伝えします。

 

まず、ロルフィングの大きな特徴が「身体全体のつながり」を取り戻すこと。

身体が一つにつながっているのは皆さんご存知ですね。

では、それを実感したことはあるでしょうか?

 

身体がひとまとまりで動くよう、つながりを取り戻すこと。

これは、当たり前すぎて見過ごされやすいですが、良い姿勢に欠かせない条件です。

それを感じられる身体になることには、大きな価値があります。

 

また「重力と調和した身体」を目指すこと。

この重力の調和という視点もまた、ロルフィングのユニークなところです。

 

重力と良い関係を持っているか。

それが良い姿勢になれるかどうかの大切な基準になります。

 

重力との関係に目を向けると、効率の良い立ち方や動き方が見えてきます。

無理な力を入れなくても、よい姿勢になれるので、リラックスできる身体になります。

 

筋力だけでは作り出せないバランス。

重さの感覚という新しい視点が、それを可能にしてくれます。

 

そして、身体に備わっている「本来の動き」を手にする練習をすること。

習慣を見直し、癖を手放していくのです。

 

日常の動き方の癖が、姿勢に影響していることは、皆さんも理解されていると思います。

ここが変われば、姿勢は以前と同じ状態には戻りません。

 

身体の使い方が良くなれば、身体の形もそれに合わせて変わります。

無理なく、自然に動いている時、姿勢も自然に良くなっていくのです。

 

ただ、誰にでも、自分だけでは気付きにくい癖や習慣があります。

自分では何もしているつもりがないから、自分には見えない癖。

 

しかし、そこにこそ、変化を妨げてきた大きなブレーキが隠れていることが多いのです。

それに気づき、手放していけることが、ロルフィングの大きな価値だと思います。

 

最後に、ロルフィングで高まるのが、やはり「身体の柔軟性」。

触れた時の身体の硬さが、回を重ねる度に和らいでいくのが感じられます。

柔らかな身体は、動きの可能性が高まります。

 

そんな身体は、働きかけたときの反応も速くなっていきます。

打てば響く身体になっていくような感じでしょうか。

 

以前と同じワークをしても、はるかに短い時間で変化するようになっていきます。

その反応する力は、身体に記憶され、消えてしまうことがないように感じます。

 

このように、ロルフィングは、重力と調和した、楽に動ける身体に変化していくプロセスです。

正しい、理想的な姿勢(形)を作り、維持しようと頑張ることはしません。

それでも、結果として、いわゆる良い姿勢になっていくのですが。

 

その時に合わせて、最適な姿勢になれるように、身体の適応力が上がっていくのです。

「良い機能を持った姿勢」になっていくとでも言えるでしょうか。

 

そういう視点から「良い姿勢」を定義すれば、回を重ねることで、より良い姿勢になり続けられると言えます。

だから、ロルフィングを受けて時間が経つと、以前と全く同じような状態に戻ってしまう。

やっても意味がない。

そういった心配はなくても大丈夫だと思うのです。

 

地に足がつく

 

「地に足がつく」という言葉。

身体と心の感覚で、それがどういうことか、味わってみませんか。

 

ロルフィングの10シリーズでは、2回目のセッションで足を扱います。

初期の頃は、1回目に行われていたようです。

それくらいロルフィングで、足は重要視されています。

 

足が、本来の機能を果たし、身体の重さが、足から地面にスムーズに伝わっている時、身体は安定します。

そして、安心して、足に体重を預けられるとき、呼吸も深くなり、落ち着きます。

 

膝も、腰も、肩も、首も、頭も、足の上にのっています。

足は、身体の土台となる部分です。

そういう視点からは、身体全体のバランスにとって、足がいかに大事なのかが分かると思います。

 

足首を捻挫しやすい。

足裏を均等につけない。

靴底の減りが偏っている。

足が冷える。

O脚である。

土踏まずのアーチがなく、扁平足だ。

足首がかたい。

 

足に関しての悩みはさまざまです。

いずれも、足の本来の機能が発揮されていない状態だと言えます。

 

ロルフィングでは、これまで眠っていた足の機能が目覚めるように、問いかけます。

 

足と足首の仕組みを知り、これまでとは違う視点で見て、感じる。

何となくこういうものだと思い、感じ慣れてきた足のイメージから、少し離れてみる。

 

そんなことが、実は効果的なのです。

 

知っていたはずの、感じ慣れていたはずの足が違って見えてきます。

すると、動きも変わってきます。

 

足の中にクッションが入っている感じになる。

足の中の小さな骨が、色々と動いているのを感じられる。

かかとに重心が置けるようになる。

 

また、歩くのに、つま先を使えるようになり、脚がちゃんと伸ばせるようになる。

足首の関節の動きを感じ、ちゃんと使えるようになる。

上半身が楽になる。

そんな変化が現れてきます。

 

変化した足は柔らかくなり、いろいろな動きが起きているのが感じられます。

それでいて、しっかりして、安定していると感じられるのです。

 

柔らかくて、それでいて、しっかりしているという、一緒にあるはずはないと思っていた感覚の組み合わせ。

それを感じることに、驚く方は多いです。

しっかりしようと力を入れ、足を固くしていると、出会えない感覚だと思います。

 

安定と固定は違いますね。

免震構造のある建物をイメージしてみて下さい。

さまざまな動きがあるから、揺れを吸収し、倒れないのです。

 

足が安定して地面についているとき、身体は安定します。

安定した身体には、静かな落ち着きと安心感が広がります。

 

「地に足がつく」という言葉の意味を、そんな身体になってから、改めて感じてみて下さい。

それまでとは違う「地に足がつく」に出会っていることでしょう。

 

考える世界から、感じる世界へ

 

「なるほどね」

「そういうことか」

ロルフィングで身体が変わり、新しい感覚に出会った時によくお聞きする言葉です。

 

頭では知っていたはずのことが、本当は分かっていなかったと感じる。

あるいは、長らく気になっていた言葉や、理解できなかった内容が、ふと分かる。

腑に落ちるという表現がありますが、そんな感じの時、出てくる言葉だと思います。

 

うまくいかないことは、色々と考え、試しながら、できるようになっていきます。

それでも、長いあいだ変化しないことがある場合、同じやり方を、同じ感覚のままで、続けない方が良いようです。

その時の自分が思いつく範囲内には、その答えがないことが多いからです。

 

僕も、長くできなかったことが良い方に変化する時、いつも同じことを感じます。

「なるほどね」

「そういうことか」

そして、これまでのように考えていただけでは出来なかっただろうな、と思うのです。

 

そんな時に起きた変化は、それまでの考え方や、物の見え方の延長にあるという感じがしません。

むしろ、自分の考えていたことや、なんとなく持っていたイメージ、慣れていた感覚の外に出られて、ようやく変化できたという印象です。

 

これまでに無かった視点で見ている。

無意識で持っていた思い込みに気づいている。

言葉の持つ意味が変わっている。

それが感じられるからです。

 

そんな理由から、まずは、絶えず考えている状態から少し離れてみること。

慣れている感覚とは違う感覚になってみること。

そうやって、自分をいつもと違う状態にしてみることが、変化を促すのに効果的だと思うようになりました。

 

そのために、ロルフィング in 京都のセッションでは、今の身体の感覚に目を向ける時間を大切にします。

考え続けていた世界から、感じる世界へ、ほんの少しづつ移動してみるのです。

はじめは、大して意味がないことに思えるかもしれませんね。

 

しかしながら、ほんの少し、いつもとは違う感じ方をしてみると、これらの言葉の出会い始めることでしょう。

「なるほどね」

「そういうことか」

それは、これまでの自分の知覚の枠から、少しだけ外に出るための、大きな一歩になります。

 

自分の視点や感じ方から解放されると、身体が変わること。

これまで自分が考え、感じていたことが続いていく訳ではなく、それ以外の自分や身体の状態、そして世界が存在すること。

 

感じる世界では、そんなことが分かってくるように思います。

穏やかな解放感と共に。