自分以外の物差し、視点を使う

 

だれかの物差しや視点を借りてみる。

新しい感覚に触れる時や、何かを変えてみたい時に、良い手ががりになると思います。

 

その時の自分には、なぜか見えないことがあります。

慣れていくと、普通に見えるものでも。

 

例えば、セッション中に「身体のどこが変化したか、自分ではよく分からない」と言われることがあります。

そんな時は、ロルファー側の視点で、変化の内容をお伝えするようにしています。

 

「こんな風に動いているように見えます」

「先程と比べて、こんな感じはありませんか?」

 

それを聞きながら、身体に注意を払う時間をしばらく過ごしてもらいます。

 

「そう言われたら、たしかにそんな感じがないこともない」

「少しだけ、そんな気がする」

そんな言葉が返ってきます。

 

はじめは、それで十分だと思います。

いつもとは違う何かを感じるきっかけになっているからです。

 

そうやって、一度でもいいので、あいまいな感覚に目を向け、気づいてみること。

これは何かの感覚なのかもしれないと、ひとまず受け入れてみること。

そんな繰り返しが、これまでは感覚に入らなかったものに気づいていく助けになるようです。

 

自分以外の物差しを使ってみること。

これまでとは違う視点を使って、身体を観察すること。

 

こういった作業を、ロルフィングのセッションでは積み重ねることができます。

さまざまな習い事と同様に、これもまた練習した分だけ上達します。

 

新しい感覚や変化に気づきやすくなっている。

そんなご自分を感じられるようになるでしょう。

 

骨盤底と太ももの内側を使う

 

ロルフィング・10シリーズの4回目のセッションで、骨盤底や脚(太もも)の内側に働きかけます。

身体のさまざまな部位の中でも、特に身体意識がなくなりやすいところではないかと思います。

 

「これらの部分に注意を向けることがなかった」

「初めて考えた」

このような感想を話される方はとても多いです。

 

「内股の筋肉(内転筋)を使って歩きたいけど、上手く使えない」

「骨盤底筋を使えているのかどうか分からない」

運動をしている方であれば、このように悩まれていることもよくあります。

 

これまで、考えることも、注意を向けることもなかった部分。

または、どうやって使っていいのか分からず、悩んでいたところ。

 

それらは、より良い変化のための、大きな可能性を秘めているところだと言えます。

骨盤底や太ももの内側はそのような部分になりやすいです。

 

10シリーズの13回目が、この4回目の骨盤底、内腿へのワークへの準備となっています。

地ならしのようなことができているので、このような深い部分に働きかけた時にも、変化が継続しやすいのです。

 

よく分からなかったところを、少しだけ活性化させてみましょう。

脚の内側、骨盤底を使った歩き方、立ち方を体感してみませんか。

 

「思っていたのと違っていた」

「頑張って使おうとしなくても、そこが使えているのが分かる」

多くの方と同じように、そんな感想を持たれるのではないかと思います。

 

これは、身体にとって、とても大きな意味があります。

それを身体で理解して頂けると思うのです。

 

Less is better 〜 少ない方が良い

 

ロルファーとしての年数を重ねるうちに、腑に落ちてくる言葉があります。

以前の講義で聞いた内容や、昔読んだ本の中の言葉だったりします。

 

そのうちの一つが、ある講師の方の言葉です。

Less is better 少ない方が良い」

 

セッションにおいて、少ないくらいが良い。

多過ぎるのは、良くない。

そういう意味での言葉だったと記憶しています。

 

「なるほど」と思って聞いていましたが、もっと「なるほど」となってきました。

ロルフィングのセッションに限った話ではないなと分かってきたからです。

 

なんとなく、たくさんの方が良いと思いがちな自分がいます。

しっかりと変化を感じたい。

もっと良くしたい。

できるだけ、伸ばしたい。

より大きく変化したい。

なるべく早く、はっきりと、自分の思う結果を手にしたい。

 

そのような思いが、全体のバランスや調和という点からは、望ましくない結果になることが多いなと感じるようになってきました。

自分自身で身体をケアする時や、日常生活において、もちろんセッション中でも、それを実感します。

 

自分では良かれと思い、頑張ってみたことが、身体に負担をかけ過ぎてしまう。

結果として、バランスを崩し、身体を痛めてしまう。

そんなことになるようです。

 

だから、その時の自分の感覚では少ないと感じる。

または、大した変化だとは思えない。

それくらいの感覚の中で、落ち着いて進めていくことが、実はスムーズな変化に大切なのではないかと思うようになりました。

 

「自分には分からないだけで、それが適度な変化の量なのだろうな」

そう思うようにしてみると、少しずつ、感覚もより細やかになっていき、それが少ない訳ではないと理解できるようになっていきます。

 

自分には、少ししか変化していない、と見えている。

でも本当は、「少ししか」ではなく「適量」かもしれない。

 

そんな観点を少し試してみませんか。

変化への入り口が、少し見えてくると思います。

 

「少し」が「少し」では無いと分かってきたこと。

それが、ロルフィングの経験を重ねてきた中で、大きく変化してきたことの一つです。