今、目指しているゴールは正解なのか?

 

こんな状態になりたい。

これを手にしたい。

多くの方は、そんなことを考え、それに向かって努力することに慣れているのではないかと思います。

 

ただ、その求めている状態(ゴール)が正解なのか、良いことなのか、と立ち止まって考えてみること。

それは、つい忘れがちになるかもしれません。

 

例えば、ある部分の筋肉を伸ばしたい。

だからストレッチを続ける。

さまざまな方法を考えながら。

 

確かに、筋肉に柔軟性があることは良いことだと言えるでしょう。

ただ、その時に自分が思っているような伸びが必要かどうかは分かりません。

 

身体全体の調和、バランスを考えて、過剰に伸びるのは望ましくない場合があります。

とすれば、それを達成しない方が、できない方が、身体にとって良いと言うこともできます。

 

努力しながらも、そのゴールはどうなのかという視点も忘れないこと。

それをしている自分の状態はどうなっているのかを観察すること。

そんなことが大事ではないかと思います。

 

これは、日常生活の、さまざまな状況にも当てはまるように思います。

ある目的だけが見えている時、つい方法に集中し、結果にこだわりがちだと思います。

そんな時こそ、少し立ち止まって、ひと息ついてみるのが良いようです。

 

それを手にすることは、良いことなのか。

本当に必要なことなのか。

どのような考え、思いから、それをしようとしているのか。

そのような視点を持ち、すこし間を取ってみます。

 

落ち着きを取り戻し、我に返った自分からは、違った言葉が聞こえるかもしれません。

これまでとは違う身体感覚に気づきながら。

 

見ようとしないで、みる

 

身体の感覚に気づくこと。

これには、とても大きな意味があります。

変化していくためには欠かすことのできない要素だと思っています。

そのため、ロルフィングのセッションでは、身体の感覚に目を向けることを、繰り返し練習します。

 

その際に、よくあること。

それは、気づかないうちに、身体が固くなったり、収縮したりすることです。

 

こちらから、身体のある部分に注意を向けるような声かけをします。

そして、受け手の方が、そうすることを考えます。

 

すると、その瞬間、こちら側からは、身体が緊張し、収縮していくのを感じることが多いのです。

無意識に、力が入ったり、頑張ったりという反応が起きているのですね。

 

そんな時に、よく使う言葉があります。

それが、「見ようとしないで、みてください」というものです。

 

しっかりと目で見ようとする。

はっきり見ようとする。

 

そんなイメージで身体の感覚を見に行くと、緊張や収縮が起きやすい印象があります。

そうならないようにできないか、という意図が、この言葉にはあります。

 

見ようとする思いが強くなっていることに気づいて、落ち着いてみる。

見ようとしないで、注意を向けてみる。

すると、身体の緊張が緩み、呼吸が深くなってきます。

 

外から観察している側からは、その変化がすぐに感じられます。

特に、目や眉間、のどの辺りの緊張が和らぐような感じがあります。

 

初めうちは、緊張や収縮が起きているとは感じられないことがほとんどです。

気づいていないので、無自覚に繰り返している習慣なのですね。

 

ロルフィングのセッションでは、そうなった瞬間と、それが和らぐ瞬間をお伝えし、自覚できるようになる練習を繰り返します。

すると、ある時から、その違いが分かるようになってきます。

そこで、自分に起きていたことを理解できるようになるのです。

 

日常生活の中でも同じことが言えます。

何かを見ている時、何かを考えている時、気づかないうちに、心身に緊張が起き、身体が収縮している。

その可能性が高いのです。

 

そういった無自覚だった反応に、自分の身体を通して気づくようになる。

そして、自分自身で繰り返してきた、緊張や収縮を手放していけるようになる。

それが、ロルフィングで得られるものの中でも、特に価値のあることではないかと思います。

 

「見ようとしないで、みる」

その言葉を体感することには、生きやすさを手にする可能性が、含まれている。

そう思っています。

 

17年目

 

この3月で、開業して17年目に入りました。

これまで来てくださった方々のおかげだなと、改めて感謝の思いが浮かびます。

ありがとうございました。

 

アメリカでのロルファー養成トレーニングコースでは、17年くらいの経験を持ったロルファーが講師を務めてくれました。

長い経験があるベテランだなという目で見ながら、色々と質問したのを思い出します。

 

今、自分がそれくらいのキャリアになっているのだと思うと、不思議な気持ちです。

こんな感覚を持ちながら僕らに話してくれていたのでしょうか。

そして、こういった内容を伝えるのは、なかなか難しかっただろうなと思ったりします。

 

今でも、新しい気づきがある毎日です。

それでも、トレーニングコース中や、開業当初とくらべると、自分の中に大きな違いがあるのを実感します。

 

例えば、ロルフィングを受けて頂いている方の身体の変化を、視覚だけではなく、様々な感覚を通して気づくようになってきました。

こんな風に感じ、気づくことができるのかという、面白さと不思議さを感じる毎日です。

 

今後も、それが多様になり、広く、深くなっていくのだろうなと思うと、とても楽しみです。

どんな視点になれるのか、どんな感覚に会えるのか、大きな可能性を感じます。

 

また、僕自身の、心身のさまざまなところが良くなってきたのにも気づきます。 

楽に立つ。

背筋を伸ばして座る。

深呼吸する。

肩の力を抜く。

落ち着いて、ほっとする。

そんなことが、僕には本当に難しく、日常生活でも、セッションをする上でも大きな悩みでした。

 

それがより良い状態に変化し続けています。

まだまだ伸びしろがあると思えるのが、とても嬉しいことです。

 

自分自身の、心身の変化。

そして、ロルフィングのセッションを受けられた方々の、心身の変化。

それを見る機会を重ねた分だけ、どなたにも大きな可能性があることを信頼できるようになりました。

 

すんなりと出来ず、試行錯誤しながら、少しずつ、小さな手がかりを、積み重ねてきた16年です。

だからこそ、上手く出来なかったり、悩んだりしている方々に、お伝えできる情報が蓄積されてきたとも思うのです。

 

それを皆さんと共有し、心地のよい心身で生きるための手助けとなれば、本当に嬉しいことです。

そして、そんな状態の方が増え、より優しい世の中になっていくことを願っています。

 

17年目も、よろしくお願いします。

 

あけましておめでとうございますin2021

 

あけましておめでとうございます。

 

色々と考えさせられる年初ですが、これまで同様に、地に足をつけて、手の届く範囲で、できることを続けていきたいと思います。

そして、皆さんが心身ともに健康に過ごしていけるために、何らかのお手伝いができると嬉しいです。

少しでも、より良い方向に進むように。

 

今年もよろしくお願いします。

 

2020年、ありがとうございました

 

昨年末には思いもしなかったような2020年になりました。

そんな中でも、セッションやワークショップに来てくださった方々、本当にありがとうございました。

 

個人的に、今年の残念だった出来事。

この145年、ほぼ毎日のようにランチでお世話になってきた、ご近所のびお亭さんが、37年と1週間の歴史に幕を下ろされたことです。

 

身体のことを考えた、安全で新鮮な食材で作られた、本当に美味しいランチでした。

どんな体調でも美味しく食べられて、本当にありがたかったです。

 

加えて、スタッフさん達も素敵でした。

初めて逆上がりができた子供の動画に、大きく拍手をして喜んで頂いたことや、さまざまなケーキをお願いして作って頂いたことなど。

良い思い出が沢山です。

 

僕の心身の健康は、びお亭さんに支えてもらっていたのだなと、改めて感謝しています。

もちろん、僕だけでなく、多くの常連さん達にもそんな存在だったのでしょうね。

びお亭の皆さん、長い間、ありがとうございました。

 

来年について。

しばらくは現状のような状況が続いていくのだろうと思います。

 

そんな中だからこそ、心身の健康を保ちながら、穏やかに毎日を過ごすことが、より大切になるだろうと感じています。

そのためのお手伝いができるように、そして、少しでも良いセッションができるように、今後も精進したいと思っています。

 

改めて、今年一年ありがとうございました。

来年もまた、よろしくお願いします。

 

1年ぶりの滋賀・大津ワークショップ

 

11月初めに、滋賀・大津でワークショップを開催しました。

本来は4月に予定していたものです。

 

今回、注意しながらも行うことができて良かったです。

ご参加くださった方、本当にありがとうございました。

 

今年は特別な状況にあり、心身共に、緊張しやすい条件にあると思います。

ワークショップで、その緊張を少しでも和らげることができたら、と考えていました。

 

深く、らくに呼吸し、落ち着きを取り戻すこと。

穏やかさや、静けさを感じること。

そういったことに意識を向けることを、一番注意して進めました。

 

その結果として、身体の楽さや軽さを感じた方。

姿勢の変化や、歩き方の違いに気づいた方。

それぞれの方なりの体験があったと思います。

 

穏やかさや静けさを感じることが、身体に影響する。

その逆もそう。

 

ほんのちょっとした感じかたの変化も、ちゃんとした違いになる。

それを体感し、少しでも何かに生かして頂けるなら、嬉しいことです。

 

次は、来年の春に開催できたらなと思っています。

今回、はっきり感じられなかった方、また体験してみて下さい。

回を重ねることで、だんだんと見えてくることがあります。

 

良い感覚を楽しんで頂けた方も、ぜひ。

また新たな感覚が現れると思います。

 

琵琶湖畔で、京都とはまた違った雰囲気で、気持ちの良い時間でした。

ありがとうございました。

次回もまた、皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。

 

空(くう)が有る感覚

 

空の感覚、空間の感覚、スペース感覚があるかどうか。

これは、動き方や姿勢に大きな影響を与えるようです。

 

セッションに来て頂いてる方々は実感があると思います。

何も無いのではなく、空が有る感じです。

 

ロルフィングを始めてから年を重ねるごとに、その感覚の大切さが感じられるようになってきました。

 

空の感じ、スペース感覚、広がり

それが感じられた時に、身体に変化が生まれます。

 

柔らかさのための安定

 

リラックスしたい。

硬い身体を柔らかくしたい。

「力を抜いて」と言われるが、やり方が分からない。

 

そんな思いで運動やストレッチをしたり、力を抜く練習をしたりしている方は多いのではないかと思います。

僕自身もそうでした。

 

どうにかして力を抜きたい、柔らかくしたいということばかり考えていたのを覚えています。

その時には、なぜ硬くなっているのかについて考える余裕がありませんでした。

 

必要があって、硬さがある。

今はそういう設定になっている。

そんな考え方にはならなかったのです。

 

身体のある部分が硬くなる理由の一つに、十分な安定がないことが挙げられます。

ある状態の時、特定の部分を硬くしないと、うまく動けなかったり、バランスが取れなかったりするのです。

 

ですから、その硬さのおかげで、ある程度の身体の機能を保っていられると言うこともできます。

本当はありがたいことなのだと思えてきますね。

 

そう考えてみると、柔らかさを取り戻すには、身体が硬くならなくてもよい条件を揃えていけばよい。

そんな風に言えるのではないでしょうか。

 

そして、その条件の一つが、身体に十分な安定があることだと言えます。

 

柔らかさやリラックス。

それは、やみくもに力を抜こうとすることではなく、身体に安定をもたらすことから生まれてくるようです。

 

問いかけ

 

問いかけて、そのままにしておく。

そんな感覚でいることには、身体の緊張を和らげる可能性が含まれているように思います。

 

問いに対して、僕らは、すぐに、はっきりとした答えを求めてしまいがちではないでしょうか。

そして、そんな態度の時、身体には緊張感が広がりやすいように感じます。

 

ロルフィングのセッションでは、身体のある部分に意識を向けてみたり、新たなイメージを投げかけてみたりします。

それが、問いかけです。

 

そして、その結果どうなるのか、身体に現れる変化を観察してみます。

自分の望む答えを探すのではなく。

 

そんな態度で、問いかけを繰り返していくと、少しずつ、違いが分かってくることでしょう。

自分の答えにこだわっている時と、そうでない時の、身体感覚の違いが。

 

問いかけて、待つ。

自分の答えを、ひとまず横に置いてみる。

そのままにして、しばらく心配しない。

 

日常においても、そんな感覚や態度で生きられると良いなと思っています。

 

自分の言葉からの解放

 

何気なく使う言葉のなかに、自分なりの決めごとがあります。

それに気づくことからも、変化が始まります。

 

例えば、腰という言葉。

ほとんどの方がご存知の言葉ですね。

 

ただし、この言葉が何を意味するのかは、人によって違いがあります。

骨盤をイメージする人や、股関節辺りを含める人、または腰椎(背骨)だけを思い浮かべる人もいるでしょう。

人それぞれの、自分の思っている腰があるのです。

 

また、その言葉には、腰はこんな風に動くものだという考えや経験、イメージも付いています。

意識的なレベルでも、無意識のレベルでも。

 

腰という言葉を考えた時、自分の腰が自動的に現れ、そこから話がスタートしている。

そのように考えてみてはいかがでしょうか。

 

そして、その自分の腰にある決めごとが、気づかないうちに、動き方や姿勢にも大きく影響を与えている。

そんな仕組みになっているようです。

 

ロルフィングのセッションでは、自分の言葉が持つ癖が見えてきます。

思うともなく思っていたことが分かってきます。

 

そうすると、少しずつ自分の言葉からの解放が起きてくるでしょう。

その時、姿勢や動き、身体感覚にも違いがうまれることが感じられると思います。

 

自分の言葉の持つ意味が変わり、その言葉から浮かぶイメージが変わった時、変化が起きる。

そんな仕組みがあるとしたら、どうでしょう。

とても大きな、変化の可能性を感じられませんか?