目に見えている身体と、感じている身体

 

20年ほど前の、ロルフィングのトレーニングコースでのこと。

マッサージテーブルに横になっている僕の足を、講師のトーマスが軽く持ちました。

僕は、脚全体が内側に回旋するのを感じ、脚を内側に回しているのだなと思っていました。

 

ただ、何かが違う感じでした。

奥の方から始まり、普段は動かせなかったところから回っているような感覚です。

 

そこで、どのようにしているのかなと興味を持ち、頭を起こして見てみました。

そこにあったのは、特に内に回すこともなく、はじめと同じ位置にある脚を、静かに触れている彼の姿でした。

 

目で見る形としての脚は、先程と同じ位置にあり、変化していないように見える。

でも、体験している脚は、内側に回り続けている。

 

そのギャップに、とても驚いたのを覚えています。

そして、その後の脚は、いつになく良い調子でした。

 

目で見ている身体や、感じ慣れている身体とは違う何かがあること。

それを感じたり、扱ったりすることができること。

それが、より良い変化を助けてくれること。

 

それを実感できたことに、大きな喜びを感じました。

どうしても変わってくれないと思っていた身体にも、まだ変化する余地があると感じられたからです。

 

どの感覚に注目しているのかで、違いが生まれます。

いつもとは違う感覚に出会えることには、とても大きな意味があります。

 

ロルフィングを受けられている方は、程度の差はあれ、同様の体験をされていきます。

感覚が変わったり、別のイメージが浮かんだ後には、姿勢や動き方が変化することが感じられます。

目に見えている形としての身体を、外からの力で変えようという方法以外にも、手はあるのです。

 

これまで注意を払っていなかったので、存在を知らず、使っていなかった機能。

それに気づいていく練習を、ロルフィングのセッションでは繰り返しています。

それが、身体をより良い状態へと変化するのを助けてくれます。

 

その結果として、感じていることを大事にする習慣も、手にされていくでしょう。

あるいは、感じることを大切にしていなかったことに、気づかれるのかもしれません。

 

そんなところもまた、ロルフィングの面白さだと思います。

 

5回目のセッション〜大腰筋(腸腰筋)を使う

 

あまりよく知られていない筋肉の一つに、大腰筋(だいようきん)があると思います。

腸骨筋(ちょうこつきん)と合わせて腸腰筋(ちょうようきん)と呼ばれる場合もあります。

インナーマッスル、コアマッスル、深層筋などと呼ばれる筋肉の中で、代表的なものの一つだと言えます。

 

大腰筋は、背骨と太ももの骨(大腿骨)に繋がっている大きな筋肉です。

付着する部分からも分かるように、腰椎や股関節の機能に特に大きな影響があります。

 

この大腰筋が本来の機能を発揮できるようにすること。

それが、ロルフィング10シリーズ5回目のセッションでの、大きなテーマの一つです。

 

「楽に動ける」

「脚が長く感じる」

「背中が伸びる」

「腰が楽」

「呼吸しやすい」

「歩きやすい」

 

大腰筋がうまく機能してきた時の感想です。

身体が持つ、本来の働きが現れてくるのです。

 

「自然に、楽に動くというのはこんな感じなのか」

まずは、そんな感覚を体験してみること。

それが大きな一歩になるでしょう。

 

これまで、あまり発揮されていなかった大腰筋の働き。

その機能を使った身体を体験してみませんか?