空(くう)が有る感覚

 

空の感覚、空間の感覚、スペース感覚があるかどうか。

これは、動き方や姿勢に大きな影響を与えるようです。

 

セッションに来て頂いてる方々は実感があると思います。

何も無いのではなく、空が有る感じです。

 

ロルフィングを始めてから年を重ねるごとに、その感覚の大切さが感じられるようになってきました。

 

空の感じ、スペース感覚、広がり

それが感じられた時に、身体に変化が生まれます。

 

柔らかさのための安定

 

リラックスしたい。

硬い身体を柔らかくしたい。

「力を抜いて」と言われるが、やり方が分からない。

 

そんな思いで運動やストレッチをしたり、力を抜く練習をしたりしている方は多いのではないかと思います。

僕自身もそうでした。

 

どうにかして力を抜きたい、柔らかくしたいということばかり考えていたのを覚えています。

その時には、なぜ硬くなっているのかについて考える余裕がありませんでした。

 

必要があって、硬さがある。

今はそういう設定になっている。

そんな考え方にはならなかったのです。

 

身体のある部分が硬くなる理由の一つに、十分な安定がないことが挙げられます。

ある状態の時、特定の部分を硬くしないと、うまく動けなかったり、バランスが取れなかったりするのです。

 

ですから、その硬さのおかげで、ある程度の身体の機能を保っていられると言うこともできます。

本当はありがたいことなのだと思えてきますね。

 

そう考えてみると、柔らかさを取り戻すには、身体が硬くならなくてもよい条件を揃えていけばよい。

そんな風に言えるのではないでしょうか。

 

そして、その条件の一つが、身体に十分な安定があることだと言えます。

 

柔らかさやリラックス。

それは、やみくもに力を抜こうとすることではなく、身体に安定をもたらすことから生まれてくるようです。

 

問いかけ

 

問いかけて、そのままにしておく。

そんな感覚でいることには、身体の緊張を和らげる可能性が含まれているように思います。

 

問いに対して、僕らは、すぐに、はっきりとした答えを求めてしまいがちではないでしょうか。

そして、そんな態度の時、身体には緊張感が広がりやすいように感じます。

 

ロルフィングのセッションでは、身体のある部分に意識を向けてみたり、新たなイメージを投げかけてみたりします。

それが、問いかけです。

 

そして、その結果どうなるのか、身体に現れる変化を観察してみます。

自分の望む答えを探すのではなく。

 

そんな態度で、問いかけを繰り返していくと、少しずつ、違いが分かってくることでしょう。

自分の答えにこだわっている時と、そうでない時の、身体感覚の違いが。

 

問いかけて、待つ。

自分の答えを、ひとまず横に置いてみる。

そのままにして、しばらく心配しない。

 

日常においても、そんな感覚や態度で生きられると良いなと思っています。

 

自分の言葉からの解放

 

何気なく使う言葉のなかに、自分なりの決めごとがあります。

それに気づくことからも、変化が始まります。

 

例えば、腰という言葉。

ほとんどの方がご存知の言葉ですね。

 

ただし、この言葉が何を意味するのかは、人によって違いがあります。

骨盤をイメージする人や、股関節辺りを含める人、または腰椎(背骨)だけを思い浮かべる人もいるでしょう。

人それぞれの、自分の思っている腰があるのです。

 

また、その言葉には、腰はこんな風に動くものだという考えや経験、イメージも付いています。

意識的なレベルでも、無意識のレベルでも。

 

腰という言葉を考えた時、自分の腰が自動的に現れ、そこから話がスタートしている。

そのように考えてみてはいかがでしょうか。

 

そして、その自分の腰にある決めごとが、気づかないうちに、動き方や姿勢にも大きく影響を与えている。

そんな仕組みになっているようです。

 

ロルフィングのセッションでは、自分の言葉が持つ癖が見えてきます。

思うともなく思っていたことが分かってきます。

 

そうすると、少しずつ自分の言葉からの解放が起きてくるでしょう。

その時、姿勢や動き、身体感覚にも違いがうまれることが感じられると思います。

 

自分の言葉の持つ意味が変わり、その言葉から浮かぶイメージが変わった時、変化が起きる。

そんな仕組みがあるとしたら、どうでしょう。

とても大きな、変化の可能性を感じられませんか?

 

感覚を追いかけない

 

はっきりとした感覚を追いかける。

自分の望む感覚を一生懸命に探す。

その結果、緊張が高まり、身体を縮めてしまう。

ロルフィングのセッション中に、よく起きることです。

 

ロルファーとして関わっている側からは、その変化がよく分かります。

呼吸が浅くなり、窮屈さが広がっていくからです。

 

一生懸命に何かをやろうと考えている時。

一つのことに集中し過ぎている時。

自分の心身に起きている苦しさを感じにくくなるようです。

 

僕自身にもよく起きることです。

追いかける状態から離れることができたら、何が起きていたかが分かります。

それまでは、特に何とも感じないのが不思議だなと、いつも思うのですが。

 

ロルフィングのセッションで、心身に目を向ける機会を重ねていくと、少しずつ分かってくるでしょう。

「ちゃんとやろうと頑張って、緊張していたのか」と。

 

追いかけている時と、そうでない時の違いに気づく練習をしていきませんか。

セッションの中で、切り替わる瞬間をお伝えしたり、その前後の違いを体感してもらったりしています。

そんなことを繰り返していくと、どなたでも分かるようになっていくでしょう。

 

求めている内容が何であれ、どのような在り方でそれを求めているのか?

どんな内容のことであれ、何かをしている時に、どのような感覚が心身に広がっているのか?

その点に注意を払うようになってきます。

 

そうなると、長く続いてきた心身の問題や苦しさの正体が見え始めることでしょう。

軽やかに生きるための手がかりと共に。

 

生活パターンが変化することで

 

4月に予定していた滋賀・大津でのワークショップは延期となりました。

参加を希望して下さっていた方、申し訳ありませんでした。

落ち着いた環境で、改めて皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。

また、よろしくお願いします。

 

このような状況ですから、ほとんどの方に、外出が減ったり、活動が少なくなったりといった変化があるのではないかと思います。

これまでと同じパターンで生活を送ることはできないですね。

それは、結果として、新しい生活習慣で生きていると言うこともできます。

 

習慣を変えるのは、なかなか難しいことです。

それが期せずして起きていると言えますね。

その変化を、新しい視点を手にする良い機会としている方も多いのではないでしょうか。

 

例えば、時間に余裕ができたことで、これまでは時間に追われている感じの毎日だったのだなと気づく。

または、普通だと思っていた日常は、とても貴重なことだったと分かった、など。

変化には、気づきを促す力があると思います。

 

そして、こういう時は、身体の感覚に目を向けるのにも良いタイミングだと考えることができます。

 

活動量が少なくなり、習慣による動き方、身体の使い方を繰り返すことが減っている。

また、いつもとは違う気持ちで過ごすことにより、身体のコンディションが変わっている。

そんな条件が、新しい感覚に気づきやすくしてくれるように感じます。

 

普段よりも、少しだけ深く、落ち着いた感覚を味わえるのに気づく。

あるいは、身体の奥の方に細やかな動きを感じられる。

そんな、心地の良い感覚に気づく可能性があります。

 

反対に、普段よりも心身の緊張感がはっきり分かる。

また、呼吸が浅くなっているのが気になる。

そういった、一見望ましくない感覚の存在に気づくこともあるでしょう。

 

しかし、それがどんな内容であれ 気づくことができたという意味では、価値があると言えると思うのです。

いつもとは違う状況で過ごす毎日。

この時を、気づきを深めるという機会として過ごしてみるのも良いのではないでしょうか。

 

頭と心を、静かに

 

何かを考え、頭を使い続けている時、身体が固くなりやすいようです。

失敗しないようにと心配したり、何かの不安を感じている時も同様です。

 

そんな時は、気づかないうちに呼吸が浅くなっています。

ロルフィングのセッションでは、それに気づいて、別の選択ができないか探してみます。

 

頭と心を静かにして、身体を休めてみるのです。

 

そうすることで、息が楽になるのが分かったり、身体がふわっと柔らかくなるのを感じたりします。

緊張から解放される時の感覚です。

 

穏やかな気持ちで毎日を過ごす。

ロルフィングのセッションで、手にして頂きたいと思っている大きな目標の一つです。

そのために欠かせないものが、楽な呼吸であり、心地のよい身体ではないかと思います。

 

落ち着きを取り戻すと、心身がどんな状態だったのかが分かります。

考えることが増えている時こそ、頭と心を静かにする時間を作ってみることが大切なのではないでしょうか。

 

自分の奥にある静けさ、広さやスペースを感じ、落ち着きを取り戻してみること。

それは、心身の健康にとって、とても価値のあるものだと言えるでしょう。

 

できる範囲で、少しずつ、この瞬間にある静けさに気づくこと。

そこからスタートできると良いですね。

 

16年目

 

今日38日で開業して16年目になります。

結構な年数になったな、というのが今の気持ちです。

 

ロルフィングを受け、興味を持ち、ロルファーになってみたいと思い始めたのが、20年くらい前のこと。

そこから、トレーニングコースに行くための様々な準備をしながらも、行くことを決めきれない自分がいたことを思い出します。

 

もちろん、仕事として成り立つのかという部分での迷いもありました。

ただ、当時の僕にとって一番の問題は別にありました。

「本当にロルフィングには、学び、そして職業にするだけの価値があるのか?」

それが分からなかったのです。

 

そんなこともあり、心身に関する様々な本を読んでみたり、ロルフィング以外のことをしながら、あれこれ考えて過ごす時間が何年か続きました。

しかし、やはり勉強したいという思いが強くなって、ロルフィングのトレーニングコースに参加し、今につながっています。

 

「あの時点でいくら考えても分かる訳はないよな」と、当時のことを振り返ります。

その頃の僕は、頭でっかちで生きていたので、考えたら分かると思っていたようです。

だから考えて結論を出そうと頑張っていました。

 

「体験しなければ分からないことがある」

「考えても分からないことがある」

今ならそれが分かるのですが。

 

16年目の今、ロルフィングを始めた頃と比べると、かなり違った感覚や視点を使ってセッションをしています。

経験が増えるにつれ、感じられる情報量が増え、見え方も大きく変わってきました。

 

より多くの情報から判断している感じです。

初めの頃には全く感じられなかった多くの情報から。

 

考えすぎて不安になり、ためらいそうになる自分をなだめながら、トレーニングコースに参加することを決め、開業してから16年目の今。

今の身体感覚や、心身の仕組みへの理解があれば、ロルフィングに学ぶ価値があるのかどうかという点においては全く迷わないでしょう。

 

そう実感できるようになるために、今のような視点や意識を持てるようになるために、これまでの15年間があったとも言えます。

 

今のように感じながら生きていられること。

自分に自信を持てず、自分の感じることを信じられずに生きていた僕にとって、これは本当に大きな変化です。

 

「自分にもこんな感覚があるのか」

「こんなことが感じられ、分かるようになるのか」

続けている中で、そういった驚きに出会うことができます。

 

「身体が変化するときは、こんなことが起きているのか」

「良い変化が起きる時は、こんな感覚が広がるのか」

新しく見えてくる現象を観察し、理解していける楽しさがあります。

 

どなたでも、それを感じられるようになると思います。

それを皆さんと共有し、人の心身に備わっている変化する力に気づいてもらいたい。

そして、心地の良い身体になり、穏やかに毎日を過ごすためのお手伝いをしたい。

 

16年目も、そんな思いを持ってロルフィングのセッションをしています。

引き続き、よろしくお願いします。

 

40代女性

 

忍先生 こんにちは。

無事に2泊3日の山伏体験から帰ってきました。

 

前日に重力に調和した歩き方を練習して挑んだので、要所要所でロルフィングが活かされた気がしました。

お陰で、坐骨神経痛や腰椎ヘルニアが痛むこともなく、膝が痛くなることも全くなくて、快適に山歩きが出来ました。

 

ここ半年位、特に運動もしていなのに、3日間、人について山歩きが出来た事はありがたかったです。

普段、硬い床や畳で寝るとき、膝をまっすぐ伸ばして仰向けで寝ると、お尻が浮いて腰が痛くなります。

 

寝袋で寝たのですが、1日目は少し痛くて膝を立てて寝ました。

2日目は、膝をまっすぐ伸ばして寝ても腰が痛くならず、普通に寝る事が出来ました。

重力に調和した歩き方、動きを山歩き中ずっとせざるを得ない状況だったので、反対に身体にはよかったのでしょうか!?

 

身体は疲労しているはずなのに・・・。

よくわかりませんが、私の身体にとっては、よかった様です。

 

それから、「逆らわない」これに助けられた気がします。

滑って転んだ時、抵抗しないで転ぶ事が出来たので、筋を傷める事はありませんでした。

 

今までなら、転ぶ事を避けようと、変に力を入れたり、踏ん張ったりしていましたが、受け入れる?受け止める?事をロルフィングで学んでいたので、後になって、捻挫など回避する事が出来ていたんだ~と感じました。

 

ロルフィングでは、身体感覚を大切にされていますが、聴覚、視覚等五感・感覚の1つが使えなくなったら、思考を使わなければ、他の感覚が敏感になり、反対にとても動きやすくなるという事も体験しました。

すごく面白い感覚でした。

 

他にも色々と感じたり気づいたりした事がありますが、ひとまず無事に帰れましたので、ご報告まで。

ありがとうございました。

 

生きているという現象

 

今年も、四国で自然農をされている方から、はっさくを購入しました。

甘みと酸味のバランスが良く、みずみずしくて本当に美味しいので、毎年喜んで頂いています。

皮をむき眺めていると、きれいだなと感じ、そして、このようなものが木になるという不思議さを考えます。

 

オーガニックファームで働いていた頃に「作物が育つには、種が生きていることが大前提なのだ」ということに、はっとしたのを思い出します。

言葉では知っていたはずが、本当には考えていなかったし、そう感じていなかったのだと気づいた瞬間でした。

 

ロルフィングという、身体を扱う仕事をするにあたっても、これはとても大切な視点だと思っています。

つい、当たり前すぎて忘れがちです。

生きているから動けるし、変化も起きるということを。

 

「身体のこの部分がいきいきしてきた」

「身体が生きているのを感じる」

「私は生きているんだと感じた」

 

セッション中に、こんなコメントをお聞きすることが多いです。

身体感覚から、生きていると実感することが起きるようです。

 

僕らの奥に、生きているという不思議な現象があること。

まずは生きている身体があってのこと。

 

その気づきと感覚の中に生まれる種が、新しい身体との付き合い方へと育っていくように思います。

一息ついて、生きている感覚に意識を向けてみませんか。