状態が変わると、必要なことも変わる

 

身体のある部分が変化し、より良い動きが可能になったとします。

その場合、それが安定して続くためには、他の部分もまた、それに対応できるように変わる必要があります。

身体は、全体で一つとして機能するからです。

 

どこかが変われば、他の部分にも違いが起き始めます。

程度の違いはありますが。

ロルフィングでは、そういった全体のつながりを考え、調和を保ちながら変化が続くように進めていきます。

 

身体の変化に伴い、これまで上手く出来なかったことができるようになるでしょう。

反対に、これまでと同じやり方では、上手くいかないことが出てくる可能性もあります。

条件が変わっているからです。

 

スムーズに変化していくためには、これまでと同じ方法を、反射的に繰り返さないことが大切になります。

それは、もう必要なくなっている場合があるからです。

 

まずは、注意を払い、観察し、今の状態に気づいてみるのがスタートです。

すると、これまでとは違う感覚が、身体の中に感じられるようになると思います。

 

例えば、力を入れないと出来なかった動きが、楽に、スムーズに出来るのに気づきます。

あるいは、胸を張ろうと力まなくても、良い姿勢になっているのが分かります。

 

そこで、これまでは、無自覚に何かをやっていたことに、ようやく気づきます。

そして、それまでは必要だったことを、やめることができるのです。

 

これまでのようにしなくても大丈夫。

同じことを繰り返していかない選択肢もある。

 

そんな実感は、心地よい感覚とともに、大きな解放感へとつながっていくことでしょう。

 

機能と構造

 

本来の機能を発揮し、楽に、快適に動ける時の身体。

ロルフィングでは、それを「重力と調和した身体」であると説明します。

 

例えば、棒を支えるような時、垂直に立てる方が斜めにするよりも楽ですね。

また、家の場合を考えてみると、柱は垂直で、床面などは水平だと安定します。

 

身体にも、楽に動け、同時に安定もあるような姿勢、バランスがあるのではないか。

重力に対して最適な、身体の各部分の位置関係、並び方があるのではないか。

それを手にしてみましょう、という視点がロルフィングの特徴です。

 

ロルフィングは、正式には「Structural Integration 」という名称です。

直訳すると「構造の統合」といった言葉になるでしょうか。

 

身体を構成する、さまざまな部分の関係性を考え、つながりやまとまり、位置関係を考える。

全体としてのまとまりを手にしていく。

そういう視点を表しています。

 

良い動き(機能)には、それに見合った、身体の各部分の位置関係、つながり(構造)が必要です。

身体の状態が、どのように動けるのかを決める要素になるからです。

 

一方で、いわゆる良い姿勢、良いバランスの身体(構造)であるには、それに見合う身体の動き方、習慣(機能)が必要です。

日常生活でどのように動いているかが、姿勢や身体のバランスを決める要素になるからです。

 

コインの裏表のようなものだと言えますね。

お互いが影響を与え合うこと、その理解が大切だと思います。

 

ロルフィングでは、その両面に注意を払ってセッションを進めます。

実際に、この2つは、言葉で考えるように分かれてもいないですね。

全体で一つなのです。

 

パズルのピースを増やす

 

ある動きが思うようにできない時。

または、良い姿勢が楽にとれない時。

そんな時は、何かが足りていないと考えることができます。

 

それは、必要なピースが揃っていないため、うまく絵が完成しないパズルと似ています。

今、自分が持っている身体の感覚を組み合わせても、スムーズに動けない。

楽な姿勢が見つからない。

そんな時は、パズルのピースを増やしてみてはいかがでしょうか。

 

ある人は足に、身体感覚の失われた部分があるでしょう。

また、ある人にとっては、骨盤の内部感覚が失われていたピースだったりします。

いずれにせよ、今の自分の身体感覚の中から消えている部分にあたります。

 

ロルフィングin京都では、失われていたパズルのピースを取り戻していくような作業を心がけています。

 

身体に注意を払い、身体感覚を高くすること。

解剖学的な画像を見て、身体への思い違いに気づくこと。

普段とは、違う動きをしてみること。

これらは、パズルのピースを取り戻していく有効な方法になります。

 

身体感覚が取り戻されることで、無理なく絵が作れるようになるでしょう。

そして、少ないピースで絵を完成させようとして、身体に無理をさせてきたことも感じられるようになります。

何かが少し加わっただけで楽になり、大きく変化する可能性があるのです。

 

継続する不調や痛みがある時、それ以外のところに何か手がかりを見ようとしてみる。

今あるものを増やすだけでなく、ないと思っていたものを思い出してみる。

それが、長い間変わらなかったことを変える手がかりになるでしょう。

 

必要なパズルのピースが揃った時、無理なく、自然に、楽な動きと良い姿勢が現れてきます。

 

良い姿勢とは?

 

姿勢が悪いと周りから指摘され、気にしている。

また、肩凝り、腰痛、頭痛の原因であると思われる姿勢をなんとかしたい。

そのように、姿勢に悩み、ロルフィングを受けてみようと思われる方は多いです。

僕もそのうちの一人でした。

どうやっても思うような姿勢になれないことに疲れきっていました。

 

しかし、姿勢を考える時、「良い姿勢とはどのようなものか?」という、なんとなく分かっているようで、実はよく分かってない問題が出てきます。

何をもって良い姿勢とするのか。

顎を引いていることか、背中がまっすぐに伸びていることか、肩を下げ、胸をはっていることなのか…

形の上では、様々な表現方法があると思います。

僕もロルフィングの視点を持つまでは、姿勢を形のことだと考えていました。

ここに変化の手がかりがあります。

 

ロルフィングでは、「良い姿勢の時、身体は重力と調和している」と考えています。

常に身体が対応し続けている、この「重力」との関係から姿勢を考えてみることが、ロルフィングの大きな特徴なのです。

 

重力と調和したバランスになっていくと、身体は無理な力を使わず、楽に動けるようになります。

そんな時、身体は伸びやかになって、いわゆる良い姿勢になっていくのです。

形だけでなく、機能が良いかどうか。これがとても大事なポイントです。

 

そういう理由もあり、ロルフィングセッションにおいては、頭で考える正しさより、身体の感じる楽さ、心地良さを尊重することを心がけています。

皆さんも、立っている時や歩いている時に、スムーズで楽かどうか、良い感じがあるか、心地良さを味わっているかどうかを観察してみて下さい。

 

もしそれが感じられてないとすると、重力と調和した、自然な動きではない可能性があります。

楽であるということは、わざと力を抜いてしまうことではありません。

身体のバランスが良くなり、重力と調和すると、安定が生まれ、力まなくてもよい状態が現れるのです。

 

健康でありたいという思いから、良い姿勢になろうと考える方が多いと思います。

しかし、「正しい姿勢、良い姿勢になりたい」と考え、頑張ることが身体を固くしてしまい、健康で心地よい身体になるという、本来の目的から離れる結果を引き起こしている場合がよくあります。

以前の僕が、形だけの良い姿勢にこだわり、苦しくなっていても、「もっと頑張って良くならなければ」「正しい姿勢を早く手に入れなければ」と思い詰めて、心身の調子を崩してしまったように。

 

良い姿勢の時は、身体は楽に、効率よく動いている。

動きやすく、楽な身体の時、伸びやかになり、姿勢が良くなっていく。

身体には、そんな仕組みがあるようです。

 

自分の身体で感じてみないと、人によっては、とても共存するとは思えない、納得しにくい内容だと思います。

頭でっかちだった僕の心身も、なかなか納得してくれませんでした。

少しづつ変化していくと、それが感じられるようになります。

そして、僕に限らず、ロルフィングを重ねる皆さんもまた、同じように変化され、納得されていくのを、日々目の当たりにしています。

 

「楽に、心地良さを感じながら生きていても大丈夫」という安心感。

「いつも頑張っていないと姿勢が悪くなってしまうわけではない」という解放感。

これがロルフィングで体感してもらいたいと願っていることです。