ここも動くところ

 

「ここも動くところだったのか」

新しい動きが感じられた時に、よくお聞きする感想です。

 

その箇所は動かない。

なぜか、そう思っていたことも分かってきます。

その思いも、無自覚の習慣と言えますね。

 

動かないと思っていたところが、ほんの少しだけでも、動くところに変わる。

それは、とても大きな違いを生み出してくれます。

 

その、ほんの少し、新しい動きを感じられるような練習を、ロルフィングのセッションでは大切にしています。

長い目でみると、その影響力は「ほんの少し」ではないからです。

 

ある部分が上手く機能しないことにより、他の様々な箇所にも大きな負担がかかっています。

慣れていると、気づかないことが多いですが。

 

新しく動くところが現れる。

すると、その部分の不具合を補うために必要だった他の箇所にある緊張が、少し緩んでいきます。

それが、別の部分の緊張を和らげ、それが次のと続きます。

 

ある一つの条件が変わるだけでも、身体には、とても大きな影響があります。

身体は、全体で一つのものとして機能するからです。

 

「とても良い感じ」

動いてなかったところが動くようになった時に、よくお聞きする、もう一つの代表的な感想です。

そんな感覚を味わいながら、日々を過ごせると良いですね。

 

思い出すという習慣

 

「ロルフィングのセッションで得た良い感覚や、落ち着いた在り方を保つためには、どうしたら良いか」

よく尋ねられる質問のうちの一つです。

 

繰り返し、思い出してみること。

シンプルですが、まずは、そこからスタートするのが良いと思います。

 

初めのうちは、これがなかなか難しいのです。

思い出すことを、忘れてしまうのですね。

 

「日常の中で、セッションで感じたような感覚や在り方に、目を向けてみよう」

そう思っていても、忘れてしまう。

よくあることなのです。

 

日々の生活は忙しいですね。

そして、これまでの、さまざまなことを考える習慣もあります。

何気なく、何かを考えてしまうのです。

 

忘れていたら、思い出してみる。

思い出すことを、覚えている時間を増やしてみる。

そんな練習を繰り返す必要があります。

 

すると、ある時、以前よりも、思い出そうと思えるようになっているのが分かってきます。

習慣が変わってきた証拠です。

 

良い感覚が思い出せなくても、問題ありません。

思っているような、落ち着いた在り方がなくても大丈夫です。

 

思い出してみようと、思えるように変化したこと。

そのような習慣がついてきたこと。

これが、すでに、大きな変化だからです。

 

まずは、セッションで感じた感覚、在り方を思い出してみよう、と思ってみること。

そのような時間を、ほんの少しでも過ごしてみること。

そんな小さな繰り返しが、より良い変化が続いていくための、大きな助けになります。

 

何についても同じですね。

何に意識を向けているのかが、結果に反映されていくのです。

 

広大さの感覚

 

山や海のような、広く眺めの良いところ。

そういった場所では、気持ちが晴れやかになり、広々とした感覚を感じられることが多いと思います。

 

そんな時、身体にも変化が起きます。

呼吸が深くなったり、身体が伸びたり。

だからこそ、気分が良くなるとも言えるでしょう。

 

ということは、普段は、晴れやかではない気分や、浅い呼吸や、収縮した身体の状態にある可能性がありそうですね。

無自覚ではありますが。

そして、その感覚が普通だと感じ、慣れている方が多いのではないかと思います。

 

ロルフィングのセッションの中で、解放感を味わえそうな景色や場所をイメージしてもらうことがあります。

上手くイメージできる時、身体が変化します。

そして、その変化は、ロルファー側からもすぐに感じることができます。

 

緊張が強かったり、コンディションが良くない場合は、上手くイメージができません。

逆に、身体には緊張感が増し、固くなったりします。

そういう状態にあるわけです。

 

セッションが進み、心身が落ち着いてくると、そのイメージが楽に浮かんでくるのが感じられてきます。

そのような身体の状態に変化してきたと言えますね。

その時、心身の感覚に目を向けてみると、呼吸が楽にできていることや、気持ちが落ち着いていることが分かるでしょう。

 

セッションを継続されている多くの方が、そのようにして、身体の緊張を和らげることができるようになっています。

そんなことができると思えず、半信半疑でスタートされた方が多いと思いますが。

 

こんなことで身体が変わるのですね

皆さん共通の感想です。

繰り返し練習し、身体が慣れてくると、どなたでも可能になると思います。

 

広い場所や眺めの良いところで身体を感じてみること。

あるいは、気持ちが晴れるような場所を思い出し、その感覚を体感してみること。

どちらにも、広大さの感覚を思い出し、身体に変化を促す力があります。

 

自分の身体を整えるための、問いかけの一つにしてみてください。

やった分だけ、上手になります。

 

状態が変わると、必要なことも変わる

 

身体のある部分が変化し、より良い動きが可能になったとします。

その場合、それが安定して続くためには、他の部分もまた、それに対応できるように変わる必要があります。

身体は、全体で一つとして機能するからです。

 

どこかが変われば、他の部分にも違いが起き始めます。

程度の違いはありますが。

ロルフィングでは、そういった全体のつながりを考え、調和を保ちながら変化が続くように進めていきます。

 

身体の変化に伴い、これまで上手く出来なかったことができるようになるでしょう。

反対に、これまでと同じやり方では、上手くいかないことが出てくる可能性もあります。

条件が変わっているからです。

 

スムーズに変化していくためには、これまでと同じ方法を、反射的に繰り返さないことが大切になります。

それは、もう必要なくなっている場合があるからです。

 

まずは、注意を払い、観察し、今の状態に気づいてみるのがスタートです。

すると、これまでとは違う感覚が、身体の中に感じられるようになると思います。

 

例えば、力を入れないと出来なかった動きが、楽に、スムーズに出来るのに気づきます。

あるいは、胸を張ろうと力まなくても、良い姿勢になっているのが分かります。

 

そこで、これまでは、無自覚に何かをやっていたことに、ようやく気づきます。

そして、それまでは必要だったことを、やめることができるのです。

 

これまでのようにしなくても大丈夫。

同じことを繰り返していかない選択肢もある。

 

そんな実感は、心地よい感覚とともに、大きな解放感へとつながっていくことでしょう。

 

自分の言葉からの解放

 

何気なく使う言葉のなかに、自分なりの決めごとがあります。

それに気づくことからも、変化が始まります。

 

例えば、腰という言葉。

ほとんどの方がご存知の言葉ですね。

 

ただし、この言葉が何を意味するのかは、人によって違いがあります。

骨盤をイメージする人や、股関節辺りを含める人、または腰椎(背骨)だけを思い浮かべる人もいるでしょう。

人それぞれの、自分の思っている腰があるのです。

 

また、その言葉には、腰はこんな風に動くものだという考えや経験、イメージも付いています。

意識的なレベルでも、無意識のレベルでも。

 

腰という言葉を考えた時、自分の腰が自動的に現れ、そこから話がスタートしている。

そのように考えてみてはいかがでしょうか。

 

そして、その自分の腰にある決めごとが、気づかないうちに、動き方や姿勢にも大きく影響を与えている。

そんな仕組みになっているようです。

 

ロルフィングのセッションでは、自分の言葉が持つ癖が見えてきます。

思うともなく思っていたことが分かってきます。

 

そうすると、少しずつ自分の言葉からの解放が起きてくるでしょう。

その時、姿勢や動き、身体感覚にも違いがうまれることが感じられると思います。

 

自分の言葉の持つ意味が変わり、その言葉から浮かぶイメージが変わった時、変化が起きる。

そんな仕組みがあるとしたら、どうでしょう。

とても大きな、変化の可能性を感じられませんか?

 

生活パターンが変化することで

 

4月に予定していた滋賀・大津でのワークショップは延期となりました。

参加を希望して下さっていた方、申し訳ありませんでした。

落ち着いた環境で、改めて皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。

また、よろしくお願いします。

 

このような状況ですから、ほとんどの方に、外出が減ったり、活動が少なくなったりといった変化があるのではないかと思います。

これまでと同じパターンで生活を送ることはできないですね。

それは、結果として、新しい生活習慣で生きていると言うこともできます。

 

習慣を変えるのは、なかなか難しいことです。

それが期せずして起きていると言えますね。

その変化を、新しい視点を手にする良い機会としている方も多いのではないでしょうか。

 

例えば、時間に余裕ができたことで、これまでは時間に追われている感じの毎日だったのだなと気づく。

または、普通だと思っていた日常は、とても貴重なことだったと分かった、など。

変化には、気づきを促す力があると思います。

 

そして、こういう時は、身体の感覚に目を向けるのにも良いタイミングだと考えることができます。

 

活動量が少なくなり、習慣による動き方、身体の使い方を繰り返すことが減っている。

また、いつもとは違う気持ちで過ごすことにより、身体のコンディションが変わっている。

そんな条件が、新しい感覚に気づきやすくしてくれるように感じます。

 

普段よりも、少しだけ深く、落ち着いた感覚を味わえるのに気づく。

あるいは、身体の奥の方に細やかな動きを感じられる。

そんな、心地の良い感覚に気づく可能性があります。

 

反対に、普段よりも心身の緊張感がはっきり分かる。

また、呼吸が浅くなっているのが気になる。

そういった、一見望ましくない感覚の存在に気づくこともあるでしょう。

 

しかし、それがどんな内容であれ 気づくことができたという意味では、価値があると言えると思うのです。

いつもとは違う状況で過ごす毎日。

この時を、気づきを深めるという機会として過ごしてみるのも良いのではないでしょうか。

 

滋賀・大津でのワークショップ

 

久しぶりのワークショップを、初めての滋賀で開催しました。

会場は大津市の勤労福祉センターです。

 

今回は、滋賀でフィットネスのインストラクターをされているお二人が、声をかけて下さった25名の方にご参加頂きました。

 

身体の感覚に目を向け、変化に気づくこと。

感じ方やイメージが変化すると、実際に身体にも変化が現れること。

落ち着きを取り戻し、楽に呼吸する身体になると、姿勢や動きが良くなっていくこと。

 

そういったことを、実際に身体で感じ、体験する機会にして頂きたいなと思っていました。

僕自身が、長く続いていた身体の痛みや緊張の改善に、大きく役立ったと感じているからです。

 

「なんとかなるのかもしれない」

「こんな少しのことだけでも身体は変わる」

「何かが少し変わるだけで、どうしてもできなかったことが、すんなりできることがある」

 

そんなことを感じ、今、手の届く感覚の中に、変わるための手がかりがあるようだと安心すること。

それは、身体の深いところにある緊張を解くための、大切な一歩になると考えています。

今回の体験が、そのきっかけになれば良いなと思っていました。

 

ワークショップは、2人組みになり、僕の言葉の誘導で進める形です。

受け手の方と、手で身体に触れる方に分かれ、交互に行いました。

 

「歩き方が変わった」

「肩が軽くなった」

「腰が楽になった」

終わった後には、そんな感想を含め、それぞれの方なりの気付きがあったことをお聞きすることができました。

 

初めての皆さんも、身体に意識を向け、感覚に気付くことを上手にされていました。

個人セッションに来て頂いている方々は、ペアワークで触れる側になることで、ご自身で体験されていたことを、新たな視点で捉えることができたようです。

 

琵琶湖が見える素敵な場所で、落ち着きのある皆さんの在り方のおかげで、良い空気感でのワークショップになったなと思います。

個人セッションとは違う感覚があり、僕にも楽しい時間となりました。

ご参加下さった方、ありがとうございました。

 

また近いうちに開催できたらと思っています。

ワークショップに興味のある方、いつでも声をかけて下さい。

 

機能と構造

 

本来の機能を発揮し、楽に、快適に動ける時の身体。

ロルフィングでは、それを「重力と調和した身体」であると説明します。

 

例えば、棒を支えるような時、垂直に立てる方が斜めにするよりも楽ですね。

また、家の場合を考えてみると、柱は垂直で、床面などは水平だと安定します。

 

身体にも、楽に動け、同時に安定もあるような姿勢、バランスがあるのではないか。

重力に対して最適な、身体の各部分の位置関係、並び方があるのではないか。

それを手にしてみましょう、という視点がロルフィングの特徴です。

 

ロルフィングは、正式には「Structural Integration 」という名称です。

直訳すると「構造の統合」といった言葉になるでしょうか。

 

身体を構成する、さまざまな部分の関係性を考え、つながりやまとまり、位置関係を考える。

全体としてのまとまりを手にしていく。

そういう視点を表しています。

 

良い動き(機能)には、それに見合った、身体の各部分の位置関係、つながり(構造)が必要です。

身体の状態が、どのように動けるのかを決める要素になるからです。

 

一方で、いわゆる良い姿勢、良いバランスの身体(構造)であるには、それに見合う身体の動き方、習慣(機能)が必要です。

日常生活でどのように動いているかが、姿勢や身体のバランスを決める要素になるからです。

 

コインの裏表のようなものだと言えますね。

お互いが影響を与え合うこと、その理解が大切だと思います。

 

ロルフィングでは、その両面に注意を払ってセッションを進めます。

実際に、この2つは、言葉で考えるように分かれてもいないですね。

全体で一つなのです。

 

目に見えない癖を、目に見えるように

 

自分では何もしているつもりはないこと。

また、良かれと思って繰り返していること。

そういった中に、長い間変えられなかった症状の原因が隠れていたりするものです。

 

自分の目には見えない癖。

それを日の当たる場所に出すことができると、長い間変わらなかったことが変わりはじめます。

ロルフィング in 京都では、そんな作業をお手伝いしています。

 

何かをしようと考える。

ちゃんと動こうとする。

または、意識を集中する。

 

そんな時に、自分では気がつかないうちに、身体に余分な力が入りやすくなります。

首が硬くなる。

腰に力が入り、背筋が縮む。

のどが硬くなる。

眉間に力が入り、シワができる。

手に力が入る。

これらは、よくある反応の例です。

 

そして、上記のようなことが繰り返されている部分には、慢性化した症状が現れやすいようです。

外から見て、触れているロルファー側からは、そういった反応がよく感じられます。

 

それが、不思議と本人には感じられない。

何かやっているつもりも、実感もないことが多いのです。

 

僕自身も、自分のことになると、そうなってしまいます。

不思議と、自分の感覚だと、すり抜けてしまうもののようです。

 

まずは、これまでの自分には見えなかった癖に気づいてみること。

言われたら、何かそんな気がする。

そんな感じがしないこともない。

そんなところから変化への一歩が始まります。

 

無意識のうちに繰り返してきた反応をしない練習をすること。

それが、長い間続いてきた問題が変わっていくきっかけになります。

この部分が、ロルフィング in 京都で手にして頂ける大きな価値だと思います。

 

これまで見えなかった、小さな違いが分かりはじめた。

あるいは、かすかにそんな気がするようなった。

それは、大したことないように思えるかもしれないですね。

 

でも本当は、そんな小さなことが分かるくらい、とても大きく変わった。

そういうことではないでしょうか。

だから、落ち着いて、小さな違いに気づくことを重ねていけば大丈夫。

そう思って、少しずつ進んでいきたいですね。