19年目

 

開業して、19年目に入りました。

毎年のことながら、この時期には、もうそんなに時間が経ったのかと感じます。

 

ただ、以前よりも、ロルファーではなかった時のことがイメージしにくくなっているという違いはあります。

やはり、それだけ時間が経ったということですね。

 

ロルフィングの技術を高めたい。

より良いセッションをして、来てくださる方々に喜んで頂きたい。

それは、この仕事を始めた時から、変わらず持ち続けている思いです。

 

そんな中でも、健康やバランス、調和といった、ロルフィングをする上で核となる言葉の捉え方は、年々変化しています。

セッション時に感じ取り、使っている情報の内容も、当初と比べると大きく違ってきました。

 

こんな感じが広がるときは良い。

こんな感じではない方がいい。

セッション中での、そういった内的な感覚も、年々はっきり分かるようになりつつあります。

 

また、自分自身の変化を促すために、日々意識する内容も変わっています。

世界観が変わり、大切にしたいポイントも変化しているからです。

 

ロルフィングの技術の向上のためには、方法だけではなく、自分自身の在り方が変わる必要があること。

それを、年々思い知らされます。

心身のさまざまなレベルで深く変化していかない限り、できないこと、感じられないことがあるようです。

 

だから、それが分かるようになるまで、やれることを続け、心身両面で変化が進んでいくのを待つ。

そのような姿勢で、毎日を過ごしています。

 

そして、その部分が、この仕事を続ける上での大きな楽しみとなっています。

どのように感じ、考えられるようになるのか、そして、どんな身体に変化していくのかを感じながら過ごせるからです。

 

ロルフィングを長く続けてくださる方々も、同じことを話されています。

心身の仕組みが分かってくる面白さがあり、自分がどのように変わっていけるのか楽しみだと。

もちろん、心身ともに健康で、気分良く毎日を過ごせることが、一番の目標なのですが。

 

僕にとっては、日々のロルフィングのセッションは、自分の状態や、成長の度合いを測る大切な機会にもなっています。

より良い方向に進んでいるのか、在り方はどうなっているのかを確認できる瞬間です。

そんな機会をこれまで沢山頂けたこと、本当にありがたいなと感謝しています。

 

来てくださる方々と、自分自身に起きてきた姿勢、体調、症状の改善や、心の安定や緊張感の緩和といった良い変化。

それらが、良い方向に進んでいるのだろうなという安心を与えてくれます。

 

長く続けてきたことで、ロルフィングを、そして、人が持つ健康になる力を、より深いところから信頼できるようになってきました。

継続してきたことの恩恵だと思います。

 

より良いロルフィングのセッションを行えるように、今後も心がけていきます。

19年目も、よろしくお願いします。

 

関節が、存在している身体

 

関節の機能が、十分に発揮されていること。

身体が健康であるための、とても大切な条件です。

 

自然で楽な動きには、多くの関節が、うまく連動して機能することが必要となります。

身体が、本来のデザイン通りに動いている状態ですね。

 

痛みや固さなど、長く不調が続いている部分がある。

また、練習を続けているけど、なかなか上手くできない動きがある。

 

そのような場合、身体が、本来のデザインから離れた動きになっていると考えられます。

関節が、本来の機能を発揮できない状態になっているのですね。

 

ロルフィングのセッションでは、関節の機能を引き出すことを考えていきます。

元々備わっている力に気づき、必要のない力を減らすような作業を通して。

 

「関節があるのが分かる」

「関節が出てきた」

「こんな風に感じていなかった」

セッションで変化した後は、こういった感想を持たれる方は多いです。

 

「動きやすい」

「楽に呼吸できる」

「身体が固くない」

このような言葉も、よく聞かれるコメントです。

 

普段とは違う感覚になる、というところは、皆さん共通しています。

 

「こんなところに関節があるとは、考えたことがなかった」

そういう驚きを持って、関節の存在を知っていく方々がいます。

 

「そこが関節だということは、頭では知っていたけど、なぜか、それを全く考えず、実感することなく過ごしてきた」

そうやって、知っていることと、それを感じることの違いに、驚かれる方も多いです。

関節を使っている、という初めての実感が出ることによって。

 

何もないという設定になっていたところに、関節の存在を思い出すこと。

そこには、とても大きな変化につながる可能性があるのです。

 

ほとんどの方の中に、存在するけど使っていない、関節の機能があります。

せっかくなので、出し惜しみせず、十分に使っていけると良いですね。

 

そのためには、まず、気づく必要があります。

思うつもりなく、そこには何も無いと思っていたことに。

そのきっかけとして、ロルフィングのような働きかけは、とても有効だと思います。

 

関節の存在を思い出し、感じることができると、そこが動き始める。

それがどんな感覚なのか、ご自身で、ぜひ体験してみて下さい。

 

目に見えている身体と、感じている身体

 

20年ほど前の、ロルフィングのトレーニングコースでのこと。

マッサージテーブルに横になっている僕の足を、講師のトーマスが軽く持ちました。

僕は、脚全体が内側に回旋するのを感じ、脚を内側に回しているのだなと思っていました。

 

ただ、何かが違う感じでした。

奥の方から始まり、普段は動かせなかったところから回っているような感覚です。

 

そこで、どのようにしているのかなと興味を持ち、頭を起こして見てみました。

そこにあったのは、特に内に回すこともなく、はじめと同じ位置にある脚を、静かに触れている彼の姿でした。

 

目で見る形としての脚は、先程と同じ位置にあり、変化していないように見える。

でも、体験している脚は、内側に回り続けている。

 

そのギャップに、とても驚いたのを覚えています。

そして、その後の脚は、いつになく良い調子でした。

 

目で見ている身体や、感じ慣れている身体とは違う何かがあること。

それを感じたり、扱ったりすることができること。

それが、より良い変化を助けてくれること。

 

それを実感できたことに、大きな喜びを感じました。

どうしても変わってくれないと思っていた身体にも、まだ変化する余地があると感じられたからです。

 

どの感覚に注目しているのかで、違いが生まれます。

いつもとは違う感覚に出会えることには、とても大きな意味があります。

 

ロルフィングを受けられている方は、程度の差はあれ、同様の体験をされていきます。

感覚が変わったり、別のイメージが浮かんだ後には、姿勢や動き方が変化することが感じられます。

目に見えている形としての身体を、外からの力で変えようという方法以外にも、手はあるのです。

 

これまで注意を払っていなかったので、存在を知らず、使っていなかった機能。

それに気づいていく練習を、ロルフィングのセッションでは繰り返しています。

それが、身体をより良い状態へと変化するのを助けてくれます。

 

その結果として、感じていることを大事にする習慣も、手にされていくでしょう。

あるいは、感じることを大切にしていなかったことに、気づかれるのかもしれません。

 

そんなところもまた、ロルフィングの面白さだと思います。

 

イメージの中だけの動き

 

身体を、実際に動かそうとしない。

むしろ、動かないように気をつける。

 

そして、イメージの中で、動いてみる。

動くイメージを浮かべる。

動きの可能性を感じてみる。

 

ロルフィングのセッションでは、こんな言葉を使いながら、いつもとは違う身体の動きを引き出す練習をします。

 

動かそうとする思いを鎮めること。

そして動きをイメージすること。

 

それが上手くいくと、姿勢や、呼吸、動き方に大きな変化を感じられます。

初めのうちは、驚かれる方も多いです。

僕自身も、そうでした。

 

習慣化した、身体の動き方を、抑えること。

反射的に動かないこと。

その中に、大きな違いを生む力があります。

 

普段、いかに無自覚に、慣れた動きを繰り返しているのか。

それにより、どれだけ自然な動きを制限しているのか。

そこに気づくことが大切だと思います。

 

そのためには、正しく動こうとするのではなく、まずは、自分のこれまでのやり方を、脇に置いてみる。

そんな意識を持ってみることが必要になります。

 

いつものように動かない。

動かさない。

正しい動きを探さない。

 

すると、そこに広がっている、新たな可能性が見えてくるのではないでしょうか。

おそらく、予想しなかった、新しい感覚ではないかと思います。

何よりも、楽だと感じることでしょう。

 

窮屈な自分のやり方から離れてみる。

その時、とても大きな解放感が広がるのです。

 

落ち着いて、動く

 

落ち着いて、動く。

これは、なかなか難しいことだと思います。

そうしようと思うことと、そうできることは同じではありません。

 

まずは、落ち着いてみる。

それから、動いてみる。

 

そんなひと手間をかけることを、ロルフィングのセッションでは繰り返し練習しています。

それが、本来の自然な動きや、楽な姿勢を得るための、とても大切な要素となるからです。

 

そのつもりなく、落ち着いていない状態にある。

まずは、そのことに気づくのが入り口となります。

 

穏やかに、自分を観察し始めてみましょう。

すると、これまでは無自覚だった緊張感や、動き方の癖が、少しずつですが、みえてくるようになります。

 

すでに、心身には、さまざまなことが起きていたのだと、気づくことができるでしょう。

それを、リセットするために、落ち着いてみる、というひと手間をかけるのです。

 

落ち着くための方法は、色々あります。

例えば、身体を楽にしようと思ってみる。

身体の重さを感じてみる。

身体の内側にある空間、広さを感じてみる、など。

 

また、心を静かにしてみる。

頭を静かにしてみる。

穏やかな気分になってみる、なども良いでしょう。

 

いずれも、ゆっくり、間をとるようにするのが大事です。

 

ロルフィングのセッションは、色々な方法を組み合わせながら、心身が落ち着いてくるかどうかを観察しつつ、進めています。

心身の緊張感が和らぐのを促しているのです。

 

そして、上手く落ち着いてきたら、それをお伝えし、実際に立ったり、動いたりして、どのように変化したのかを確認してもらいます。

落ち着いてくると、それまでは落ち着いていなかったということが理解できます。

 

そして、新しい何かに、気づき始めることでしょう。

落ち着いた自分には、違いが分かるのです。

 

落ち着いて、動く。

その時の感覚を、ぜひ楽しんでみて下さい。

 

穏やかさの広がり

 

穏やかな感覚に気づきながら、身体に目を向けてみる。

すると、穏やかさが、目を向けたところにも広がっているように感じられます。

 

その時、ロルファー側からも、受け手の方の身体が、変化していくのを感じられます。

緊張がゆるんでいく感覚が広がるのです。

 

もちろん、姿勢も変わります。

呼吸も深くなります。

 

ロルフィングのセッションでは、その変化を感じられるように、繰り返し練習してみます。

そのうち、どんな感覚のとき、どんな状態になっているのか、だんだんと違いが分かってくるのです。

 

そして、自分の状態を、自分で変えることもできるようになります。

穏やかさや落ち着きを、選択できるようになるのですね。

それは、日々を生きる上で、とても大きなことではないかと思うのです。

 

1年ぶりの滋賀・大津ワークショップ

 

11月初めに、滋賀・大津でワークショップを開催しました。

本来は4月に予定していたものです。

 

今回、注意しながらも行うことができて良かったです。

ご参加くださった方、本当にありがとうございました。

 

今年は特別な状況にあり、心身共に、緊張しやすい条件にあると思います。

ワークショップで、その緊張を少しでも和らげることができたら、と考えていました。

 

深く、らくに呼吸し、落ち着きを取り戻すこと。

穏やかさや、静けさを感じること。

そういったことに意識を向けることを、一番注意して進めました。

 

その結果として、身体の楽さや軽さを感じた方。

姿勢の変化や、歩き方の違いに気づいた方。

それぞれの方なりの体験があったと思います。

 

穏やかさや静けさを感じることが、身体に影響する。

その逆もそう。

 

ほんのちょっとした感じかたの変化も、ちゃんとした違いになる。

それを体感し、少しでも何かに生かして頂けるなら、嬉しいことです。

 

次は、来年の春に開催できたらなと思っています。

今回、はっきり感じられなかった方、また体験してみて下さい。

回を重ねることで、だんだんと見えてくることがあります。

 

良い感覚を楽しんで頂けた方も、ぜひ。

また新たな感覚が現れると思います。

 

琵琶湖畔で、京都とはまた違った雰囲気で、気持ちの良い時間でした。

ありがとうございました。

次回もまた、皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。

 

自分の言葉からの解放

 

何気なく使う言葉のなかに、自分なりの決めごとがあります。

それに気づくことからも、変化が始まります。

 

例えば、腰という言葉。

ほとんどの方がご存知の言葉ですね。

 

ただし、この言葉が何を意味するのかは、人によって違いがあります。

骨盤をイメージする人や、股関節辺りを含める人、または腰椎(背骨)だけを思い浮かべる人もいるでしょう。

人それぞれの、自分の思っている腰があるのです。

 

また、その言葉には、腰はこんな風に動くものだという考えや経験、イメージも付いています。

意識的なレベルでも、無意識のレベルでも。

 

腰という言葉を考えた時、自分の腰が自動的に現れ、そこから話がスタートしている。

そのように考えてみてはいかがでしょうか。

 

そして、その自分の腰にある決めごとが、気づかないうちに、動き方や姿勢にも大きく影響を与えている。

そんな仕組みになっているようです。

 

ロルフィングのセッションでは、自分の言葉が持つ癖が見えてきます。

思うともなく思っていたことが分かってきます。

 

そうすると、少しずつ自分の言葉からの解放が起きてくるでしょう。

その時、姿勢や動き、身体感覚にも違いがうまれることが感じられると思います。

 

自分の言葉の持つ意味が変わり、その言葉から浮かぶイメージが変わった時、変化が起きる。

そんな仕組みがあるとしたら、どうでしょう。

とても大きな、変化の可能性を感じられませんか?

 

流れを感じている身体

 

「何かが流れているような感じがある」

身体が変化して、楽になり、動きやすくなった時の、多くの方に共通する感想の一つです。

 

川の流れのような感覚。

または、空気か風が流れているような感覚。

身体の柔らかさや軽さを感じている時には、何かが流れているような感覚が浮かんでいることが多いようです。

 

それに対して、痛みがあったり、凝りを感じたり、または上手く動いてくれないと感じる部分がある場合。

そこには、何か滞っているような、詰まっているような感覚があるのではないでしょうか。

 

この感覚の違いを手がかりに、身体に変化を促すことができます。

 

「この辺りに流れるような感覚があったら、どんな感じなのだろうか?」

凝りや詰まり、固さを感じている部分に、そんな問いかけをしてみます。

 

すると、かすかに、流れるような感覚の存在が感じられている。

そんな気がしてくるのではないでしょうか。

 

その、一見気のせいのような感覚に気付いてみること。

それがきっかけとなり、少しずつ身体が変化していくようです。

呼吸が楽になったり、凝りや詰まりが気にならなくなったり。

 

始めのうちは、ご自分だけだと分かりにくいかもしれません。

そんな場合は、ロルフィングのセッションでご一緒に練習してみましょう。

 

どんな感じで問いかけると、どんな感じで変化に気付けるのか。

それを体感して頂けると思います。

その問いかける感覚に慣れていくと、いずれご自分だけでも出来るようになるでしょう。

 

「身体の感じ方や浮かぶイメージが変わる時、動き方が変わり、姿勢も変わる」

僕もそうでしたが、半信半疑の方がほとんどではないでしょうか。

 

そんなことで、身体の形や機能が変わるとは思えないのです。

それでも、体験を繰り返すと、そういう仕組みもあるようだと納得されると思います。

 

ご自分で、内側から、身体に変化を促すことができる可能性。

流れるような感覚のある、心地のよい身体から、それに気づいてみませんか。