穏やかさの広がり

 

穏やかな感覚に気づきながら、身体に目を向けてみる。

すると、穏やかさが、目を向けたところにも広がっているように感じられます。

 

その時、ロルファー側からも、受け手の方の身体が、変化していくのを感じられます。

緊張がゆるんでいく感覚が広がるのです。

 

もちろん、姿勢も変わります。

呼吸も深くなります。

 

ロルフィングのセッションでは、その変化を感じられるように、繰り返し練習してみます。

そのうち、どんな感覚のとき、どんな状態になっているのか、だんだんと違いが分かってくるのです。

 

そして、自分の状態を、自分で変えることもできるようになります。

穏やかさや落ち着きを、選択できるようになるのですね。

それは、日々を生きる上で、とても大きなことではないかと思うのです。

 

足と呼吸の関わり

 

「呼吸が楽になった」

ロルフィングのセッションで、足・足首に働きかけた後に、お聞きすることが多い感想の一つです。

先日も、数名の方から同じようなコメントが続きました。

 

地に足が着き、安定した時には、身体全体のバランスや機能が変化します。

呼吸も、もちろん変化します。

 

身体が全体で一つのものとして機能すること。

多くの方が、ご存知のことだろうと思います。

 

ただ、実際にそれを感じてみることには、また違った意味があります。

腑におちる、という言葉が当てはまるでしょうか。

 

「足(足首、脛)は、呼吸に大きく影響を与える」

僕がロルフィングを学んだ講師は、そう言っていました。

ロルフィングでは、足の機能をとても重視しています。

 

安定した足で立つ時、呼吸が変わるのを実感してみて下さい。

深い呼吸には、下半身の働きも必要だと、感じられるでしょう。

 

そこで、「足」や「呼吸」という言葉の持つ意味が、違ったものになることと思います。

それもまた、変化にとって大切なことです。

 

息が楽になる。

肩の力を抜いていられる。

それらの感覚を、一度でも、実際に身体で感じてみることには、とても大きな意味があります。

 

呼吸が楽にできない。

深呼吸が上手くできない。

そう悩まれている方。

 

足からのアプローチもあると知り、トライしてみて下さい。

これまでとは違う変化や、気づきがあると思います。

 

その時、上半身の使い方の問題だけではなかったのだと、少し楽な気持ちも生まれてくるのではないでしょうか。

そんな気持ちもまた、ほっと息をつく助けとなってくれるはずです。

 

広大さの感覚

 

山や海のような、広く眺めの良いところ。

そういった場所では、気持ちが晴れやかになり、広々とした感覚を感じられることが多いと思います。

 

そんな時、身体にも変化が起きます。

呼吸が深くなったり、身体が伸びたり。

だからこそ、気分が良くなるとも言えるでしょう。

 

ということは、普段は、晴れやかではない気分や、浅い呼吸や、収縮した身体の状態にある可能性がありそうですね。

無自覚ではありますが。

そして、その感覚が普通だと感じ、慣れている方が多いのではないかと思います。

 

ロルフィングのセッションの中で、解放感を味わえそうな景色や場所をイメージしてもらうことがあります。

上手くイメージできる時、身体が変化します。

そして、その変化は、ロルファー側からもすぐに感じることができます。

 

緊張が強かったり、コンディションが良くない場合は、上手くイメージができません。

逆に、身体には緊張感が増し、固くなったりします。

そういう状態にあるわけです。

 

セッションが進み、心身が落ち着いてくると、そのイメージが楽に浮かんでくるのが感じられてきます。

そのような身体の状態に変化してきたと言えますね。

その時、心身の感覚に目を向けてみると、呼吸が楽にできていることや、気持ちが落ち着いていることが分かるでしょう。

 

セッションを継続されている多くの方が、そのようにして、身体の緊張を和らげることができるようになっています。

そんなことができると思えず、半信半疑でスタートされた方が多いと思いますが。

 

こんなことで身体が変わるのですね

皆さん共通の感想です。

繰り返し練習し、身体が慣れてくると、どなたでも可能になると思います。

 

広い場所や眺めの良いところで身体を感じてみること。

あるいは、気持ちが晴れるような場所を思い出し、その感覚を体感してみること。

どちらにも、広大さの感覚を思い出し、身体に変化を促す力があります。

 

自分の身体を整えるための、問いかけの一つにしてみてください。

やった分だけ、上手になります。

 

状態が変わると、必要なことも変わる

 

身体のある部分が変化し、より良い動きが可能になったとします。

その場合、それが安定して続くためには、他の部分もまた、それに対応できるように変わる必要があります。

身体は、全体で一つとして機能するからです。

 

どこかが変われば、他の部分にも違いが起き始めます。

程度の違いはありますが。

ロルフィングでは、そういった全体のつながりを考え、調和を保ちながら変化が続くように進めていきます。

 

身体の変化に伴い、これまで上手く出来なかったことができるようになるでしょう。

反対に、これまでと同じやり方では、上手くいかないことが出てくる可能性もあります。

条件が変わっているからです。

 

スムーズに変化していくためには、これまでと同じ方法を、反射的に繰り返さないことが大切になります。

それは、もう必要なくなっている場合があるからです。

 

まずは、注意を払い、観察し、今の状態に気づいてみるのがスタートです。

すると、これまでとは違う感覚が、身体の中に感じられるようになると思います。

 

例えば、力を入れないと出来なかった動きが、楽に、スムーズに出来るのに気づきます。

あるいは、胸を張ろうと力まなくても、良い姿勢になっているのが分かります。

 

そこで、これまでは、無自覚に何かをやっていたことに、ようやく気づきます。

そして、それまでは必要だったことを、やめることができるのです。

 

これまでのようにしなくても大丈夫。

同じことを繰り返していかない選択肢もある。

 

そんな実感は、心地よい感覚とともに、大きな解放感へとつながっていくことでしょう。

 

今、目指しているゴールは正解なのか?

 

こんな状態になりたい。

これを手にしたい。

多くの方は、そんなことを考え、それに向かって努力することに慣れているのではないかと思います。

 

ただ、その求めている状態(ゴール)が正解なのか、良いことなのか、と立ち止まって考えてみること。

それは、つい忘れがちになるかもしれません。

 

例えば、ある部分の筋肉を伸ばしたい。

だからストレッチを続ける。

さまざまな方法を考えながら。

 

確かに、筋肉に柔軟性があることは良いことだと言えるでしょう。

ただ、その時に自分が思っているような伸びが必要かどうかは分かりません。

 

身体全体の調和、バランスを考えて、過剰に伸びるのは望ましくない場合があります。

とすれば、それを達成しない方が、できない方が、身体にとって良いと言うこともできます。

 

努力しながらも、そのゴールはどうなのかという視点も忘れないこと。

それをしている自分の状態はどうなっているのかを観察すること。

そんなことが大事ではないかと思います。

 

これは、日常生活の、さまざまな状況にも当てはまるように思います。

ある目的だけが見えている時、つい方法に集中し、結果にこだわりがちだと思います。

そんな時こそ、少し立ち止まって、ひと息ついてみるのが良いようです。

 

それを手にすることは、良いことなのか。

本当に必要なことなのか。

どのような考え、思いから、それをしようとしているのか。

そのような視点を持ち、すこし間を取ってみます。

 

落ち着きを取り戻し、我に返った自分からは、違った言葉が聞こえるかもしれません。

これまでとは違う身体感覚に気づきながら。

 

見ようとしないで、みる

 

身体の感覚に気づくこと。

これには、とても大きな意味があります。

変化していくためには欠かすことのできない要素だと思っています。

そのため、ロルフィングのセッションでは、身体の感覚に目を向けることを、繰り返し練習します。

 

その際に、よくあること。

それは、気づかないうちに、身体が固くなったり、収縮したりすることです。

 

こちらから、身体のある部分に注意を向けるような声かけをします。

そして、受け手の方が、そうすることを考えます。

 

すると、その瞬間、こちら側からは、身体が緊張し、収縮していくのを感じることが多いのです。

無意識に、力が入ったり、頑張ったりという反応が起きているのですね。

 

そんな時に、よく使う言葉があります。

それが、「見ようとしないで、みてください」というものです。

 

しっかりと目で見ようとする。

はっきり見ようとする。

 

そんなイメージで身体の感覚を見に行くと、緊張や収縮が起きやすい印象があります。

そうならないようにできないか、という意図が、この言葉にはあります。

 

見ようとする思いが強くなっていることに気づいて、落ち着いてみる。

見ようとしないで、注意を向けてみる。

すると、身体の緊張が緩み、呼吸が深くなってきます。

 

外から観察している側からは、その変化がすぐに感じられます。

特に、目や眉間、のどの辺りの緊張が和らぐような感じがあります。

 

初めうちは、緊張や収縮が起きているとは感じられないことがほとんどです。

気づいていないので、無自覚に繰り返している習慣なのですね。

 

ロルフィングのセッションでは、そうなった瞬間と、それが和らぐ瞬間をお伝えし、自覚できるようになる練習を繰り返します。

すると、ある時から、その違いが分かるようになってきます。

そこで、自分に起きていたことを理解できるようになるのです。

 

日常生活の中でも同じことが言えます。

何かを見ている時、何かを考えている時、気づかないうちに、心身に緊張が起き、身体が収縮している。

その可能性が高いのです。

 

そういった無自覚だった反応に、自分の身体を通して気づくようになる。

そして、自分自身で繰り返してきた、緊張や収縮を手放していけるようになる。

それが、ロルフィングで得られるものの中でも、特に価値のあることではないかと思います。

 

「見ようとしないで、みる」

その言葉を体感することには、生きやすさを手にする可能性が、含まれている。

そう思っています。

 

17年目

 

この3月で、開業して17年目に入りました。

これまで来てくださった方々のおかげだなと、改めて感謝の思いが浮かびます。

ありがとうございました。

 

アメリカでのロルファー養成トレーニングコースでは、17年くらいの経験を持ったロルファーが講師を務めてくれました。

長い経験があるベテランだなという目で見ながら、色々と質問したのを思い出します。

 

今、自分がそれくらいのキャリアになっているのだと思うと、不思議な気持ちです。

こんな感覚を持ちながら僕らに話してくれていたのでしょうか。

そして、こういった内容を伝えるのは、なかなか難しかっただろうなと思ったりします。

 

今でも、新しい気づきがある毎日です。

それでも、トレーニングコース中や、開業当初とくらべると、自分の中に大きな違いがあるのを実感します。

 

例えば、ロルフィングを受けて頂いている方の身体の変化を、視覚だけではなく、様々な感覚を通して気づくようになってきました。

こんな風に感じ、気づくことができるのかという、面白さと不思議さを感じる毎日です。

 

今後も、それが多様になり、広く、深くなっていくのだろうなと思うと、とても楽しみです。

どんな視点になれるのか、どんな感覚に会えるのか、大きな可能性を感じます。

 

また、僕自身の、心身のさまざまなところが良くなってきたのにも気づきます。 

楽に立つ。

背筋を伸ばして座る。

深呼吸する。

肩の力を抜く。

落ち着いて、ほっとする。

そんなことが、僕には本当に難しく、日常生活でも、セッションをする上でも大きな悩みでした。

 

それがより良い状態に変化し続けています。

まだまだ伸びしろがあると思えるのが、とても嬉しいことです。

 

自分自身の、心身の変化。

そして、ロルフィングのセッションを受けられた方々の、心身の変化。

それを見る機会を重ねた分だけ、どなたにも大きな可能性があることを信頼できるようになりました。

 

すんなりと出来ず、試行錯誤しながら、少しずつ、小さな手がかりを、積み重ねてきた16年です。

だからこそ、上手く出来なかったり、悩んだりしている方々に、お伝えできる情報が蓄積されてきたとも思うのです。

 

それを皆さんと共有し、心地のよい心身で生きるための手助けとなれば、本当に嬉しいことです。

そして、そんな状態の方が増え、より優しい世の中になっていくことを願っています。

 

17年目も、よろしくお願いします。

 

あけましておめでとうございますin2021

 

あけましておめでとうございます。

 

色々と考えさせられる年初ですが、これまで同様に、地に足をつけて、手の届く範囲で、できることを続けていきたいと思います。

そして、皆さんが心身ともに健康に過ごしていけるために、何らかのお手伝いができると嬉しいです。

少しでも、より良い方向に進むように。

 

今年もよろしくお願いします。