筋膜という言葉、聞かれたことはありますか。
「筋膜リリースが、肩凝りや腰痛に効果がある」というような形で、筋膜という単語が、以前よりも聞かれるようになってきました。
ロルフィングは、筋膜を扱うものだということで、知られている部分もあります。
「筋膜に興味を持って」と、ロルフィングを受けられる方も多いです。
筋膜という言葉からは、筋肉を包む膜というイメージが浮かびやすいかもしれませんね。
それも筋膜ですが、骨を包む膜も、内臓を包む膜も、そして脳を包む膜も、筋膜と捉えることができます。
身体のあらゆるものを包み、それらをひとつにつなげ合わせているもの。
それぞれの部分の位置を決め、人の形(姿勢)を決めるもの。
それが筋膜のポイントだと思います。
僕の場合は、筋膜の存在を知り、それまでの「骨が柱で、その周りに筋肉がついているという身体のイメージ」が違っていたようだ、と気付いたのを覚えています。
そして「人の形をした、立体的なクモの巣や、薄いハンモックのようなものに、筋肉や骨、内臓などが包まれて、浮かんでいる」イメージが、より実際に近いのだと思うようになりました。
このような、ひとつながりの筋膜のイメージが持てると、身体のどの部分の問題も、程度の差はあれ、全体に影響することが、自然と感じられてきました。
例えば、セーターの裾が引っ張られると、セーター全体の形が崩れることを想像してみてください。
または、クモの巣の一部を引っ張ると、全体の形が変わることも、皆さん一度は見たことがありますね。
筋膜を考えると、身体が全体で一つのものとして機能することに納得できます。
そして、それらが形(姿勢)に影響を与えることも分かってきます。
健康な時、筋膜には柔軟性があり、あらゆる方向に伸縮するので、身体はスムーズに、自由に動くことができます。
ところが、偏りのある動きや、ケガなどの影響で、筋膜が固くなります。
その結果、筋膜の伸び縮みできる機能が下がり、筋肉や関節の動きが少なくなってきて、様々な不調の原因になっていきます。
このように固くなった筋膜ですが、手技で触れることや、新しい動きをうながすことで、柔軟性や健康な機能を取り戻していきます。
ロルフィングでは、身体全体に広がる、この筋膜(結合組織)ネットワークの柔軟性を取り戻し、バランスを整えることで、姿勢や動きの改善を手にしていくのです。
とはいえ、ロルフィングは、筋膜リリースをすることが目的ではありません。
身体が重力と調和すること。
そして、自分自身で身体と上手に付き合い、その人らしく、健康に生きていけるようになること。
そういった目的を持つ、身体の再教育プログラムです。
筋膜(結合組織)ネットワークに働きかけ、柔軟性を取り戻すこと。
同時に、気付きを高め、偏った身体の使い方・動き方を手放していくこと。
そこで身体に浮かんできた新しいイメージと感覚からは、新しい動きや姿勢が現れることでしょう。
それを、ご自身で体験してみて下さい。