心の中の風景

 

心の中にどのようなイメージが広がっているのか。

どんな景色が広がっているのか。

 

それは、気分や身体感覚、そして姿勢や動き方にも影響を与えます。

その仕組みを使いながら、ロルフィングのセッションを行うことがあります。

 

来て下さる方々には、山や森など自然を好む方が多く、僕も好きなので、その話題を楽しんだりします。

そんな方々には、セッション中に、山や森の中を歩いている時のイメージを持ち、その気分を味わってもらうのです。

 

その景色やイメージが浮かび、その気分になると、身体が変化します。

呼吸が楽になり、緊張が和らぐのも分かると思います。

 

また、良い姿勢になったり、歩くのが楽になったりするのが感じられます。

身体の中心が伸びていくのを感じられることもあるでしょう。

 

うまくイメージができるようになるまで、練習が必要になるかもしれません。

その景色を思い浮かべようと頑張ってしまい、身体に力が入ってしまうことがあるからです。

 

そういった場合には、セッションの中で、さじ加減を練習していきます。

無意識に入ってしまう力を減らしながら、穏やかにイメージするような感じです。

外からは違いが分かるので、やり取りを繰り返しながら、コツを掴んでもらいます。

 

「セッションの後、しばらくは、その景色を思うと、その気分になれて、身体が楽になっていたのに、だんだんそのイメージが浮かばなくなってきた」

よくお聞きするコメントです。

 

心身の調子によって、スムーズにできたり、できなかったりします。

同じようにイメージしているつもりでも、そうではないのですね。

それなりの心身のコンディションでないと、うまく思い描き、感じられないようです。

 

それでも、ロルフィングのセッションなどで身体のバランスが良くなり、コンディションが上がっていくことで、だんだんとやり易くなるでしょう。

また、繰り返し練習していくと、どんな感覚になれば良いのかが分かりやすくなっていきます。

 

これまで使ってなかった回路は、活性化する必要があるのですね。

何でも同じですが、練習した分だけ上達します。

 

そして、気分良く、楽にいられる時は、山や森を歩くようなイメージを浮かべ、その気分を味わうのが易しいことも分かるはずです。

すでに、そうなっていたことが分かると言えるかもしれません。

相互関係があることを実感できるでしょう。

 

心の中にどんなイメージが浮かんでいるのか。

どのような景色が広がっているのか。

その風景には、心地の良い身体で生きるためのヒントが隠されているのです。

 

「呼吸しながら、歩ける」

 

ロルフィングのセッション後に、よくお聞きするのが、この言葉です。

呼吸しながら、楽に歩いているご自身に気づき、こんな感想を述べられるのです。

 

そして、これまでが、どんな状態だったのかに気づき始めるのです。

息をとめて歩いていた気がする、と。

 

もちろん、私たちは、呼吸をしながら歩いています。

ただ、楽に、呼吸しながら歩けるようになった時には、本当は楽ではなかったようだと分かるのですね。

 

そして、自分の中にある緊張感に気づき始めます。

自覚せず、身体を固くする習慣にも。

それは、長く続いていた緊張を和らげることを助け、さまざまな問題の解決につながることでしょう。

 

重力と調和し、良い姿勢で立ち、楽に歩ける身体になると、深い呼吸ができるようになります。

また、緊張して心身が固くなった時、落ち着きを取り戻すと、楽な呼吸に戻れるようになります。

そのような心身になるお手伝いをするのが、ロルフィングのセッションです。

 

本来の、楽な身体に出会うために、ぜひロルフィングを使ってみて下さい。

せっかく備わっている機能ですから、十分に使い、伸ばしていきたいですね。

 

ご自身の力に気づき、楽に、深く息をしながら過ごせる1年となりますように。

本年もよろしくお願いします。

 

広さをみる、感じる

 

視線を遮るものが無く、遠くまで見えるような場所にいる時。

身体にも、心にも、広がりを感じることでしょう。

 

狭いところで、近くを見続けている時。

窮屈さを感じていることに気づくのではないでしょうか。

 

心身にとって、大きな違いが生まれています。

 

時々、広い場所に出かけてみる。

または、休憩時間に、広さを感じられる瞬間を持ってみる。

 

そうやって、ひと息ついてみる機会を作ってみること。

シンプルですが、心身のリセットにかなり有効だと思います。

 

そして、深い呼吸ができる時。

良い姿勢で歩けている時。

または、気分が晴れやかな時。

 

そういう時は、心の中にも広々とした景色がみえている。

広大な景色の中にいる心地良さを感じられている。

そんなことが、分かってくるかもしれません。

 

心の中で、広々とした景色をみてみること。

広大さを感じたり、その心地良さを思い出してみること。

 

それを練習してみるのも、おすすめの方法です。

慣れてくると、心身が心地良く変化するのを感じられると思います。

 

広大さの感覚

 

山や海のような、広く眺めの良いところ。

そういった場所では、気持ちが晴れやかになり、広々とした感覚を感じられることが多いと思います。

 

そんな時、身体にも変化が起きます。

呼吸が深くなったり、身体が伸びたり。

だからこそ、気分が良くなるとも言えるでしょう。

 

ということは、普段は、晴れやかではない気分や、浅い呼吸や、収縮した身体の状態にある可能性がありそうですね。

無自覚ではありますが。

そして、その感覚が普通だと感じ、慣れている方が多いのではないかと思います。

 

ロルフィングのセッションの中で、解放感を味わえそうな景色や場所をイメージしてもらうことがあります。

上手くイメージできる時、身体が変化します。

そして、その変化は、ロルファー側からもすぐに感じることができます。

 

緊張が強かったり、コンディションが良くない場合は、上手くイメージができません。

逆に、身体には緊張感が増し、固くなったりします。

そういう状態にあるわけです。

 

セッションが進み、心身が落ち着いてくると、そのイメージが楽に浮かんでくるのが感じられてきます。

そのような身体の状態に変化してきたと言えますね。

その時、心身の感覚に目を向けてみると、呼吸が楽にできていることや、気持ちが落ち着いていることが分かるでしょう。

 

セッションを継続されている多くの方が、そのようにして、身体の緊張を和らげることができるようになっています。

そんなことができると思えず、半信半疑でスタートされた方が多いと思いますが。

 

こんなことで身体が変わるのですね

皆さん共通の感想です。

繰り返し練習し、身体が慣れてくると、どなたでも可能になると思います。

 

広い場所や眺めの良いところで身体を感じてみること。

あるいは、気持ちが晴れるような場所を思い出し、その感覚を体感してみること。

どちらにも、広大さの感覚を思い出し、身体に変化を促す力があります。

 

自分の身体を整えるための、問いかけの一つにしてみてください。

やった分だけ、上手になります。

 

見ようとしないで、みる

 

身体の感覚に気づくこと。

これには、とても大きな意味があります。

変化していくためには欠かすことのできない要素だと思っています。

そのため、ロルフィングのセッションでは、身体の感覚に目を向けることを、繰り返し練習します。

 

その際に、よくあること。

それは、気づかないうちに、身体が固くなったり、収縮したりすることです。

 

こちらから、身体のある部分に注意を向けるような声かけをします。

そして、受け手の方が、そうすることを考えます。

 

すると、その瞬間、こちら側からは、身体が緊張し、収縮していくのを感じることが多いのです。

無意識に、力が入ったり、頑張ったりという反応が起きているのですね。

 

そんな時に、よく使う言葉があります。

それが、「見ようとしないで、みてください」というものです。

 

しっかりと目で見ようとする。

はっきり見ようとする。

 

そんなイメージで身体の感覚を見に行くと、緊張や収縮が起きやすい印象があります。

そうならないようにできないか、という意図が、この言葉にはあります。

 

見ようとする思いが強くなっていることに気づいて、落ち着いてみる。

見ようとしないで、注意を向けてみる。

すると、身体の緊張が緩み、呼吸が深くなってきます。

 

外から観察している側からは、その変化がすぐに感じられます。

特に、目や眉間、のどの辺りの緊張が和らぐような感じがあります。

 

初めうちは、緊張や収縮が起きているとは感じられないことがほとんどです。

気づいていないので、無自覚に繰り返している習慣なのですね。

 

ロルフィングのセッションでは、そうなった瞬間と、それが和らぐ瞬間をお伝えし、自覚できるようになる練習を繰り返します。

すると、ある時から、その違いが分かるようになってきます。

そこで、自分に起きていたことを理解できるようになるのです。

 

日常生活の中でも同じことが言えます。

何かを見ている時、何かを考えている時、気づかないうちに、心身に緊張が起き、身体が収縮している。

その可能性が高いのです。

 

そういった無自覚だった反応に、自分の身体を通して気づくようになる。

そして、自分自身で繰り返してきた、緊張や収縮を手放していけるようになる。

それが、ロルフィングで得られるものの中でも、特に価値のあることではないかと思います。

 

「見ようとしないで、みる」

その言葉を体感することには、生きやすさを手にする可能性が、含まれている。

そう思っています。

 

1年ぶりの滋賀・大津ワークショップ

 

11月初めに、滋賀・大津でワークショップを開催しました。

本来は4月に予定していたものです。

 

今回、注意しながらも行うことができて良かったです。

ご参加くださった方、本当にありがとうございました。

 

今年は特別な状況にあり、心身共に、緊張しやすい条件にあると思います。

ワークショップで、その緊張を少しでも和らげることができたら、と考えていました。

 

深く、らくに呼吸し、落ち着きを取り戻すこと。

穏やかさや、静けさを感じること。

そういったことに意識を向けることを、一番注意して進めました。

 

その結果として、身体の楽さや軽さを感じた方。

姿勢の変化や、歩き方の違いに気づいた方。

それぞれの方なりの体験があったと思います。

 

穏やかさや静けさを感じることが、身体に影響する。

その逆もそう。

 

ほんのちょっとした感じかたの変化も、ちゃんとした違いになる。

それを体感し、少しでも何かに生かして頂けるなら、嬉しいことです。

 

次は、来年の春に開催できたらなと思っています。

今回、はっきり感じられなかった方、また体験してみて下さい。

回を重ねることで、だんだんと見えてくることがあります。

 

良い感覚を楽しんで頂けた方も、ぜひ。

また新たな感覚が現れると思います。

 

琵琶湖畔で、京都とはまた違った雰囲気で、気持ちの良い時間でした。

ありがとうございました。

次回もまた、皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。

 

深い呼吸・楽な呼吸・静かな呼吸

 

呼吸の大切さは、さまざまなところで説かれていますね。

浅い呼吸に悩み、楽に呼吸ができるようになりたいと思っている方は多いと思います。

また、健康になるため、深い呼吸ができるようになりたいと練習している方もいらっしゃるのではないかと思います。

 

僕自身も、呼吸が浅いことに気づいてから、深呼吸できないことに悩みました。

本に書かれているように呼吸法を練習し、頑張ってみるけど上手くできない、余計苦しくなるというのが、僕のいつものパターンでした。

今になると分かるのですが、深く呼吸をしようという思いで、身体が緊張してしまい、逆に楽な呼吸から遠ざかってしまう結果になっていたようです。

ロルフィングセッションでも、同じ傾向がある方にお会いすることが多いです。

だから、ロルフィングに来て下さるのだと思いますが。

 

セッション後に、「息が楽にできる」「自然に呼吸している」という感想をお聞きすることが多いです。

「普通に呼吸しているつもりだった」「苦しいと思ってなかったけど」という場合も結構ありますね。

身体が変化し、楽になってみると、息が浅く、呼吸が楽に出来てなかったことに気付きやすくなるようです。

 

人には、比較する対象ができて、差を感じることで、ようやく感じたり、違いが分かったりする仕組みがあるのだろうなと思います。

また、違いを感じるには、それを感じる回路や感覚が育ってくる必要もあるのだなと、これまでの経験の中で実感するようになりました。

そんな理由で、僕は、ロルフィングセッション中に、身体の感覚に目を向け、違いを感じてもらう時間をできるだけ取るようにしています。

そして、その作業には大きな価値があると、年数を重ねるにつれて、ますます良く分かってきました。

 

ところで、深い呼吸をすることと、大きく呼吸することは違うものだと思います。

人が楽に呼吸しはじめると、静かになっていくのを感じます。

そしてゆっくりとした感じになり、呼吸が全身に広がっていくような感覚に変わります。

そんな時は、自分が呼吸をしているというより、呼吸が起きているのを眺めているような感じに近いかもしれません。

 

「ちゃんと呼吸しよう、たくさん吸って吐こう」と思うことで、気付かないうちに作り出していた緊張に気付けるとよいですね。

まずは落ち着き、静かになってみることが、深い呼吸になるスタートだと思います。

そこで初めて、楽に、深く呼吸をする自分の身体に出会い始めることになるでしょう。

 

その時には、「深呼吸とはこういう感じだろう」と思うともなく思い、探し求めていたものとは違う感覚が広がっているだろうと思います。

それは、僕がそうだったように、「だから深呼吸ができなかったのか」と腑に落ちる体験となり、ほっと息をつける瞬間を与えてくれるのではないでしょうか。