12/19体験会@山科

 

1219日、アスニー山科で体験会を開催しました。

「ロルフィングが良いと思っているが、上手く説明できない。身体で体感してもらう機会があれば伝わるのではないか」

そう言われる方々が、ご友人たちに声をかけて下さりました。

その他には、10月の滋賀ワークショップでの感覚を思い出したいという方々、2日前にロルフィングを知り、興味を持たれた方などが参加して下さりました。

 

今回のような体験会は、やはりロルフィングの個人セッションとは違うものなので、同じレベルの変化にはならないのですが、ロルフィングで使う方法や仕組みの一端を知って頂くのには良い機会です。

身体に意識を向け、感覚に耳を傾ける練習の機会としても。

 

歩いてみて、身体を感じてみて、現在の状態を把握する。

そして横になり、ペアの方の手を頼りに、身体に意識を向け、新しいイメージを選択したり、これまでとは違う感じ方を選択してみる。

それからまた、歩いてみて、どう違うのかを感じてみる。

役割を交代しながら、それを繰り返しました。

 

見るからに背が高くなった方。

肩の力が抜けた方。

呼吸が楽になった方。

こういった方法でも身体が変わることに不思議さを覚えた方。

さまざまな体感や気づきがあったようです。

 

触れられているだけでも身体が変わっていくこと。

イメージや意識を変えるだけでも身体が変わっていくこと。

その方なりの感覚で体感して頂けたと思います。

 

ペアワークでは、相手の身体に触れている手が、だんだんと身体に馴染んでいくのが分かったり、相手の身体の硬さがなくなっていく変化に気付けた方が多かったようです。

個人セッションを長年受けられている方々にとっては、普段のセッションで、ご自身の身体にどんなことが起きているのかを客観的に理解し、僕がどんなことを感じながらワークしていたのかを体感して頂く良い機会だったのではないかと思います。

 

また、お互いに感覚を伝え合うことには、自分にはなかった視点を得られる良さがあります。

自分では変わった気がしなくても、ペアの方に左右が違って見えるくらい変わったことや、歩き方が変化していることを指摘してもらうことで、そうだったのかと驚かれる方も多いです。

 

自分の感覚が当てにならない場合もある。

今の自分には、感じられない変化がある。

とても大事な気づきだと思います。

それが、癖であり、習慣なのです。

 

個人セッションでも同じですが、変化に気付けるようになるまでに、少し時間や回数が必要な場合があります。

それでも、ある時、自然と分かるようになり、どんどん深まっていきます。

 

言葉で知ることと、それを体感してみることには大きな差があります。

そして、それを積み重ねることでしか見えてこないものがあるのです。

何とか、こういった方法に含まれている可能性や重要性に気づいて頂きたいなという思いがあります。

どなたでも、その気になりさえすれば変化が始まるので。

 

楽な在り方や、より良いイメージを選択をすることは、練習を繰り返していくことで上達します。

少しづつだとしても着実に習慣を変え、身体を変えていく力があるため、一度でもやってみることには大きな意味がありますし、回を重ねていけば、なおさら良いです。

 

そして、習慣の力は強いので、忘れたら思い出し、なるべく良い選択をする時間を長くすることは、とても大切なことです。

それができれば、変化はより深まり、継続します。

 

ぜひ、ご自身でそんな機会を作ってみたり、ロルフィングのセッションやワークショップを通して、経験を重ねてみて下さい。

変化する可能性が、当然のように見えてくるはずです。

 

次回は114()に同じくアスニー山科で体験会を開催します。皆さんのご参加お待ちしています。

 

ガイアシンフォニー第九番

 

大阪平野の「ぐるぐるそだつ長屋」さんで、ガイアシンフォニー第九番の上映会がありました。

 

今から25年近く前、長野県で働きながら、ロルフィングを勉強したいと思いつつ、心を決められないで過ごしていた時期がありました。

ある日、古本屋で龍村仁監督のエッセイに出会いました。

それを読み「やっぱり、こっちの世界を生きたい」と心が決まり、そこからロルフィングの勉強するための準備を本格的に始め、今に至ります。

 

エッセイから入り、ガイアシンフォニー(地球交響曲)という映画を知りました。

これまでの第一番から第八番、どれも心に力を与えてくれましたが、今回の第九番もまた本当に素晴らしいものでした。

「コバケン」さんのベートーヴェンの第九への思い、それに向き合う姿勢に圧倒されました。

そして、それにより変わっていく演奏にも。

 

このガイアシンフォニー第九番が、龍村監督の遺作となります。

145年前の京都の上映会後に、今の仕事をするきっかけを頂いた感謝をお伝えしたいと、挨拶させて頂いた時の気さくで軽やかなご様子を思い出しながら、そしてロルフィングに関わる人生に、本当に大きな影響を与えて下さったことへ感謝しながらの鑑賞でした。

 

上映会の後のシェア会での参加者のお話も心に響くもので、素敵な会場の雰囲気とともに良い時間となりました。

ぜひ多くの方に観て頂きたいと思います。

 

筋膜という視点から

 

「筋膜」という膜があります。

この本の表紙にあるように、背中の筋肉を包む筋膜、臀部の筋肉を包む筋膜、脚の外側部分の筋膜は、それぞれの筋肉を包みながら、ひとつに繋がっています。

 

そう考えると、ある部分の不具合が、他の部分に影響を与えることが想像できるのではないでしょうか。

個別の筋肉を考えることと、それぞれの筋肉を包む、ひと繋がりの筋膜を考えることには、大きな違いがあるのです。

 

筋膜は、身体全体に立体的に広がり、筋肉だけでなく、骨、内臓など、あらゆるものを包み、それらを一つにつなげ、位置()を決めている結合組織です。

人の形をした、立体的な蜘蛛の巣や、目の細かいハンモックのようなイメージでも良いかと思います。

 

ロルフィングでは「全体性」「統合」「つながり」「関係性」などがキーワードになります。

筋膜の連続性を知ることは、これらの意味を理解していく上での手がかりになると思います。

 

つながっているから、影響がある。

まずはシンプルに、そう考えると良いのではないでしょうか。

 

筋膜に柔軟性が戻ると、姿勢や動きは変化します。

また、筋膜という視点を持ち、上手くイメージが浮かぶだけでも、身体には変化が起きます。

 

その力を、引き出したいですね。

せっかく備わっている力なので。

 

そして、おそらく皆さんが思うよりも、筋膜は(身体は)変化しやすいものです。

それをロルフィングのセッションで実感して頂きたいと思っています。

 

ロルフムーヴメント™️

 

僕は、思うようにならない姿勢や、楽にできない身体の状態に悩み、試行錯誤してきましたが、ロルフィングを通して、身体を楽にする手がかりが分かってきました。

変わっていく方法はあるのです。

 

ロルフィングセッションの大きな特徴は、受け手本人に参加してもらうことです。

「その人自身が、自分の身体に目を向け、身体への考え方や付き合い方を変えることが、健康を保つのに欠かせないのではないか」

そんな考えが基本にあるからです。

 

日常での身体の使い方や、毎日の過ごし方が、姿勢や健康に大きく影響します。

ということは、その要素が変化すれば、身体も変わるのです。

 

僕は、この視点に大きく助けられたので、セッションの中で、習慣や癖に気付き、それを手放し、本来の動きを手にする練習に時間をかける傾向があります。

 

アメリカのインストラクターが「あなたの、この部屋での歩き方が、あなたの人生の歩き方だ」という言葉を残しています。

 人生の歩き方が、その在り方が、今の瞬間の部屋の歩き方に現れているということです。

 

どのような価値観で、どんなことを考えて生きているのかが、動き方に大きな影響を与えています。

身体や動きが変わるためには、いわゆる「方法」だけではない、別の何かが変わる必要があるとも言えるでしょう。

 

ロルフィングコミュニティーは、動きの変化を通して、身体(姿勢)の変化を探っていくアプローチを「ロルフムーヴメント」と名付け、発展させてきました。

ロルファーの認定とは別に、ロルフムーブメントの資格認定トレーニングがあります。

 

僕はロルファーになって3年目に、シドニーでのトレーニングコースに参加しました。

そこでは教え方よりも、ロルファー自身が、自分の身体への気付きを高めることに主眼が置かれていました。

 自分の身体感覚を伴って学ばない限り、深まっていかないからです。

 

大きな助けになったのは「正しく動きたいと強く考えるだけでは上手くできない仕組みなのだ」という理解でした。

リラックスする方が良いということを、感覚的にも、理論的にもようやく納得できたのだと思います。

 

ちゃんとしようと思うことで、身体の奥が収縮すること。

無意識で続けている、小さい時に覚えた背中を緊張させる立ち方。

誤った解剖学の知識や、身体に持っているイメージ。

身体の内部や周辺にある、空間を感じにくい領域の存在。

目、耳、口などの感覚器官の緊張感。

 

このような、ほぼ無自覚な癖は、姿勢や動き方に大きな影響を与えています。

そこに意識を向け、はたらきかけることで、これまでとは違う身体が体験できます。

 

それは、脳の中にあるプログラム、情報、地図、設定を変えることで、身体の変化を促すような作業だと言えるでしょう。

 

トレーニングコースの終わり近く、インストラクターに言われた言葉があります。

「今は感じられないと思うけど、あなたの胸(ハート)の中には、もっと広大な空間がある。それは、もっと大きく、もっと深い」

だから、それを見続けていきなさい、いつか感じられるようになると。

 

その時から、普段の生活や日々のセッション、さまざまな学びの中で、その言葉を心に留めて過ごしました。

 今、「本当にそうだったんだな、それが感じられるようになるんだな」と、感謝の気持ちと共に、その言葉を思い返します。

 

皆さんにも、当然広がっている空間です。

それに気づいていきましょう。

 

ささやかな感覚の違いに目を向け、それに気づき続けることが、大きな変化につながる。

そんなロルフムーブメントから学んだ視点が、僕のロルフィングセッションの核になっていると感じます。

 

体験談 40代女性

 

10シリーズを終えて10日あまりが経ちました。

10回を終えたら、心身共に区切りのついた感じになるのでは」と想像していたのですが、実際には、日々の生活もからだも連続していて、流れるようにすぎていくというのが正直な所です。

だからこそ、習慣や様々な事への意識の向け方が問われるのだなと、あらためて考えているここ数日です。

 

思い起こせば、自分自身で予測のできない不調の連続が受け入れられずに息詰まる中で、どこかに突破口はないのか、できることなら克服する方法はないのかと、特効薬を探すような気持ちで受けてみたいと思ったロルフィングでした。

けれど、そんな気持ちとは全く違う視座から広がる世界があると案内していただいた中で、結果として「息詰まる」ことがぐっと減り、本当の特効薬がどこにあるのか、たくさんのヒントをいただいた事のありがたさを、しみじみと感じています。

 

ヒントだけでなく、実際にからだが楽になった事 ー 特に、穏やかに眠れるようになった事、痛みや負担なく立ち、歩ける事のふたつがもたらしてくれた安心感は本当に大きく、余裕のかけらもなかった、ここ数年の私の生活の質を少しずつ変えてくれつつあります。

そして、からだが楽になるにつれて、気持ちの方にも、考えたり感じたりする余地がうまれていったようにも思います。

 

そんな経過の中で、感じた様々な事は、私にとって「手放す」前に、固く閉めていた引き出しの鍵をひとつずつ開けていく作業のようでした。

開ける中で、ここ数年の私が最も置き去りにしていたのは五感を使うことだったと思い至ったり、忘れ物を思い出すような気分になる事が度々ありました。

思い出しすぎた感もあるのでここから先は引き出しの中の整理を心がけつつ、手放したり、委ねたりすることが実感できるようになりたいと思っています。

 

また、これまでの私には全くなかった発想で、一番考えさせられたのは「痛みを置いていかない」という先生の言葉でした。

激しい痛みのない今だから腑に落ちるのですが、この先、痛みと再会した時に、自分がどう対峙し、どうありたいと思うのか大きな宿題をいただいた気がしています。

 

もうひとつだけ私にとって大きかったのは、先生の手の柔らかさと深さでした。

毎回セッションを受ける度に、手で、という事に限らず、私は周り(人にも物事にも)にどう触れているだろうと、思いをめぐらすきっかけを与えていただいていました。

 

心身共に貴重な体験をさせていただいた事、又、皮膚の事をはじめ、なかなか力が抜けないでいる私に、きっと様々ご配慮いただいていたのだろうなと本当に感謝しています。

ありがとうございました。

色々な気付きに周回遅れな感があり、手放す作業を修了させるには時間がかかりそうですが、それも自分らしさだと受け入れつつ、あわてず、あせらず、すごしていきたいと思います。

 

ワークショップin滋賀

 

1029()滋賀でワークショップを開催しました。

琵琶湖に面し、素晴らしい眺めの「オーパル」さんが会場で、26名の方がご参加下さりました。

これまで試したことのない問いかけをしてみた時、姿勢や動きがどう変わるのかの体験です。

 

21組になり、立った姿勢、歩く様子や感覚などを確かめてからスタートしました。

横になり、身体に置かれたペアの方の手を助けにしながら、言葉での誘導とともに身体に意識を向けていきます。

 

まず、上半身の肩、それから胸郭へ意識を向け、普段とは違うイメージを持ってみる練習をしました。

楽な呼吸を手にするための有効な手段です。

左右交互に、そしてペアの方と役割を交代しながら進めていくので、違いを感じることにも徐々に慣れていきます。

お互いに、歩き方や姿勢の違い、左右差などを報告し合いながら進めましたが、多くの方がちゃんとした変化を感じられているようでした。

 

下半身は骨盤と腿へ意識を向け、新しいイメージを持つことを試しました。

そして、どの部分に働きかけるときも「落ち着いて」いることを強調して、進めます。

普段のロルフィングセッションでも同じですが、このひと手間が、とても大切だと思います。

初めのうちは、当然ながら全体的に緊張感がありましたが、途中から落ち着きが広がり始め、とても良い感じで終了できたと思います。

 

「目線が高くなった」

「肩の力が抜けて、身体が軽い」

「呼吸が楽。息が楽に入ってくる」

「意識するだけで変わるのが不思議だ」

そんな感想を頂きました。

 

「今はいいけど、この良い感覚がすぐに無くなるのではないか」という質問がありました。

確かに、日常生活に戻り、いつもの感じで、いつも通りの気分で生活すると、どうしても、これまでの習慣に戻りやすくなります。

やはり、できるだけ新しい感覚に慣れていくこと、また、その感覚や気分を思い出す機会をなるべく持つことが助けになると思います。

 

心身に積み重ねてきた習慣は、少しづつ変えていく必要があります。

ロルフィングの基本プログラムである10シリーズで、#1呼吸、#2足、#3体側面と回数を重ねていく理由も、長年の習慣の力は強く、身体全体がその影響を受けているため、少しずつ、無理なく、さまざまな視点で全体的に変化を促していく必要があるからです。

 

まずは手の届くところから落ち着いてスタートしましょう。

それで十分です。

今回練習してみた意識の向け方やイメージを繰り返すうちに、少しずつ切り替わっていきます。

 

知覚、感覚のリハビリやトレーニングだと思って、ぜひ続けてみて下さい。

初めは難しく感じられるかもしれませんが、がっかりせず、落ち着いて続けていくと、ちゃんと変化が分かり始めます。

 

また、個人セッションで身体が深く変化することや、ワークショップで他者の手や視点を借りられる機会を利用することも、感覚を深めていく大きな助けとなるでしょう。

そうやって、ご自身で身体を整えていく技術を高め、より快適な日常を手にして頂きたいなと思っています。

 

参加者の皆様、ありがとうございました。

今後も定期的にワークショップをしていきたいと考えています。

ご参加を希望される方や、開催に興味のある方など、またお気軽にお声掛けください。

 

ロルフィングの基本的な考え

 

身体の慢性的な痛みや、姿勢の問題に悩む方は、「施術などで良くなっても、またすぐに戻ってしまい、同じことが繰り返されるんじゃないか」と考えがちではないでしょうか。

あるいは、「きつくても頑張り続けて、良い姿勢を保たないといけない」「これまで頑張ってみたけど駄目だったから変わらない」などという考えになっていることもあるでしょう。

僕も、そんな考えを持っていた一人です。

 

身体の痛み、違和感、思い通りにならないイライラをなんとか解消したいと、ストレッチしたり、ジムでトレーニングしたり、走ったり、本を読んで、正しい姿勢や呼吸を練習したり、色々なことを試してきました。

どれをやっても上手くいかず、余計痛くなったり、苦しくなったり、疲れきって落ち込んだり、また思いついてやってみたりの繰り返しが長く続いていました。

 

そんな時に、ロルフィング10シリーズを経験し、身体の変化とともに、僕のそういった考えは変わりました。

身体は変わる。無理なく、楽に動く可能性はある。

そんなことが感じられて、身体だけでなく、自分の思い込みからも解放され、本当に楽になっていきました。

皆さんにも、そんな体験をして頂きたいと思っています。

 

ロルフィング®は、アメリカ人女性の生化学者アイダ・ロルフ博士(1896-1979)によって始められた「身体の再教育プログラム」です。

彼女は「健康な身体には、重力に調和した無理のないバランスがある」と考えました。

重力と格闘し続けている身体ではなく、重力とうまく関係を取りながら、楽に動けるのが本来の身体であると。

 

皆さんもご存知の通り、家の安定には、柱が垂直で、床が水平であることは欠かせませんね。

同じように、重力の影響をいつも受けている身体にも、重力との関係から、各部分の最適な位置、並び方があるのではないかという視点で、身体を見直したのです。

そして、筋膜という、筋肉や骨、内臓など、あらゆるものを包み、それらを一つにつなげ、形(位置)を決めている結合組織に注目しました。

 

筋膜は身体全体に立体的に広がり、身体の中にある全てのものを包み、つなげている、ひとつながりのものです。

人の形をした、立体的な蜘蛛の巣や、目の細かいハンモックのようなイメージでも良いかと思います。

筋膜は、ケガや偏った動き方などが原因で固くなり、本来の柔軟性が減ってきます。

 

そうなると、固くなった筋膜に包まれている身体の部分の動きが減り、本来の動きや機能を発揮できなくなり、最適な位置から外れます。

スムーズに動けなくなったところを補うために、無理な力を使う必要が生まれると、徐々にそこが固くなり、その影響がまた別のところにという具合に、全身に歪みが広がります。

筋膜はひとつながりなので、どの部分に問題が起きても、程度の差はあれ、他のどの部分にも影響が及ぶということです。

 彼女は、人の姿勢、身体の形を決めるはたらきを持つ、この筋膜ネットワークに、柔軟性と全体のバランスを取り戻すことで、身体の各部分が本来の位置に戻り、重力と調和した身体に戻っていくと考えました。

 

また、彼女は、姿勢(身体の形)に大きな影響を与えている日常動作の癖、習慣を見直し、身体本来のしくみに沿った動きを手にすることが必要だと考えていました。

同じところを繰り返し痛めるような場合、望ましいものではない習慣や癖が理由になっていることが多いからです。

同じスポーツを長年続けることで、偏った身体の使い方になり、たくさん使い続けた部分を痛めやすいのは想像しやすいですね。

 

同様に、日常の立ち方や座り方、歩き方などにも、ただ気付いてないだけの癖や偏りがあります。

それを無自覚に何十年と続け、身体に負担がかかっているかもしれないと想像してみて下さい。

ですから、本来の自然な動きを手にするためには、今現在、日常でどんな動き方をしていて、何が身体に起きているのかに気付くこと、そして望ましくない習慣や癖を手放すことがとても大切になります。

 

このように、筋膜へ働きかける手技の要素と、習慣を見直し、本来の動きを学ぶという運動の要素を組み合わせて行うのが、ロルフィングの特徴と言えます。

ロルフィングで、身体は変わること、自然体で楽に生きられることに気付き、心地の良い毎日を過ごしていけるお手伝いができると嬉しいです。

 

心の中の風景

 

心の中にどのようなイメージが広がっているのか。

どんな景色が広がっているのか。

 

それは、気分や身体感覚、そして姿勢や動き方にも影響を与えます。

その仕組みを使いながら、ロルフィングのセッションを行うことがあります。

 

来て下さる方々には、山や森など自然を好む方が多く、僕も好きなので、その話題を楽しんだりします。

そんな方々には、セッション中に、山や森の中を歩いている時のイメージを持ち、その気分を味わってもらうのです。

 

その景色やイメージが浮かび、その気分になると、身体が変化します。

呼吸が楽になり、緊張が和らぐのも分かると思います。

 

また、良い姿勢になったり、歩くのが楽になったりするのが感じられます。

身体の中心が伸びていくのを感じられることもあるでしょう。

 

うまくイメージができるようになるまで、練習が必要になるかもしれません。

その景色を思い浮かべようと頑張ってしまい、身体に力が入ってしまうことがあるからです。

 

そういった場合には、セッションの中で、さじ加減を練習していきます。

無意識に入ってしまう力を減らしながら、穏やかにイメージするような感じです。

外からは違いが分かるので、やり取りを繰り返しながら、コツを掴んでもらいます。

 

「セッションの後、しばらくは、その景色を思うと、その気分になれて、身体が楽になっていたのに、だんだんそのイメージが浮かばなくなってきた」

よくお聞きするコメントです。

 

心身の調子によって、スムーズにできたり、できなかったりします。

同じようにイメージしているつもりでも、そうではないのですね。

それなりの心身のコンディションでないと、うまく思い描き、感じられないようです。

 

それでも、ロルフィングのセッションなどで身体のバランスが良くなり、コンディションが上がっていくことで、だんだんとやり易くなるでしょう。

また、繰り返し練習していくと、どんな感覚になれば良いのかが分かりやすくなっていきます。

 

これまで使ってなかった回路は、活性化する必要があるのですね。

何でも同じですが、練習した分だけ上達します。

 

そして、気分良く、楽にいられる時は、山や森を歩くようなイメージを浮かべ、その気分を味わうのが易しいことも分かるはずです。

すでに、そうなっていたことが分かると言えるかもしれません。

相互関係があることを実感できるでしょう。

 

心の中にどんなイメージが浮かんでいるのか。

どのような景色が広がっているのか。

その風景には、心地の良い身体で生きるためのヒントが隠されているのです。

 

選択できると知っていること

 

穏やかであること。

楽でいられること。

気分良く過ごせること。

 

それらを選択できると知っていることには、とても大きな意味があると思います。

望ましくない心身の状態を変えていくことは可能なのです。

 

日々の生活の中で、感情が揺れ動くことは沢山あります。

体調の波もあるでしょう。

 

それでも、その時なりの落ち着きや穏やかさを選択することはできます。

練習を重ねた分だけ、上手になっていきます。

 

穏やかで、落ち着いている時の身体の状態があります。

そんな身体の感覚や動きに慣れ、それを選択できるようになることで、落ち着いている心の状態へと変化しやすくなるようです。

 

ロルフィングのセッションでは、緊張している時と、落ち着いている時の、身体の感覚の違いに気づく練習をします。

どのような感覚の時に、穏やかさを選択しているのかを体感し、理解していくのです。

そして、違和感を覚えた時に、望ましい心身の状態へと、切り替えられるようになることを目指していきます。

 

穏やかさや落ち着いた気持ちは選択できる。

それを知り、そうできるようになるお手伝いをすること。

 

それは、ロルフィングのセッションの中でも、特に大きな意味を持つ部分だと感じています。

なぜなら、そこには、ロルフィングの求める心身の健康を手にするために欠かせない、大切な要素が含まれているからです。

 

そして、今すぐに完璧にできないとしても、そういった選択は可能であり、その方向へ進んでいると知っていること。

それが、さまざまな事が起きる毎日を過ごす中で、心のよりどころになってくれるのではないかと考えています。

 

19年目

 

開業して、19年目に入りました。

毎年のことながら、この時期には、もうそんなに時間が経ったのかと感じます。

 

ただ、以前よりも、ロルファーではなかった時のことがイメージしにくくなっているという違いはあります。

やはり、それだけ時間が経ったということですね。

 

ロルフィングの技術を高めたい。

より良いセッションをして、来てくださる方々に喜んで頂きたい。

それは、この仕事を始めた時から、変わらず持ち続けている思いです。

 

そんな中でも、健康やバランス、調和といった、ロルフィングをする上で核となる言葉の捉え方は、年々変化しています。

セッション時に感じ取り、使っている情報の内容も、当初と比べると大きく違ってきました。

 

こんな感じが広がるときは良い。

こんな感じではない方がいい。

セッション中での、そういった内的な感覚も、年々はっきり分かるようになりつつあります。

 

また、自分自身の変化を促すために、日々意識する内容も変わっています。

世界観が変わり、大切にしたいポイントも変化しているからです。

 

ロルフィングの技術の向上のためには、方法だけではなく、自分自身の在り方が変わる必要があること。

それを、年々思い知らされます。

心身のさまざまなレベルで深く変化していかない限り、できないこと、感じられないことがあるようです。

 

だから、それが分かるようになるまで、やれることを続け、心身両面で変化が進んでいくのを待つ。

そのような姿勢で、毎日を過ごしています。

 

そして、その部分が、この仕事を続ける上での大きな楽しみとなっています。

どのように感じ、考えられるようになるのか、そして、どんな身体に変化していくのかを感じながら過ごせるからです。

 

ロルフィングを長く続けてくださる方々も、同じことを話されています。

心身の仕組みが分かってくる面白さがあり、自分がどのように変わっていけるのか楽しみだと。

もちろん、心身ともに健康で、気分良く毎日を過ごせることが、一番の目標なのですが。

 

僕にとっては、日々のロルフィングのセッションは、自分の状態や、成長の度合いを測る大切な機会にもなっています。

より良い方向に進んでいるのか、在り方はどうなっているのかを確認できる瞬間です。

そんな機会をこれまで沢山頂けたこと、本当にありがたいなと感謝しています。

 

来てくださる方々と、自分自身に起きてきた姿勢、体調、症状の改善や、心の安定や緊張感の緩和といった良い変化。

それらが、良い方向に進んでいるのだろうなという安心を与えてくれます。

 

長く続けてきたことで、ロルフィングを、そして、人が持つ健康になる力を、より深いところから信頼できるようになってきました。

継続してきたことの恩恵だと思います。

 

より良いロルフィングのセッションを行えるように、今後も心がけていきます。

19年目も、よろしくお願いします。