アメリカでのロルファー養成トレーニング中のことです。
歩き方や立ち方を見て、どこに緊張があるか、どんなパターンがあるか、などを話し合うボディリーディングの時間がありました。
「こんなことが起きている」
「ここがこのように動いている」
モデルになったクラスメート達を見ながら、講師が話していきます。
でも、どうしても僕にはそのように見えてきません。
ちゃんと見ようとするのですが、何も分からないのです。
クラスの後、落ち込みながら「正直さっぱり分からない」と講師に伝えました。
そして「どうしたら分かるようになるのか」「何か見えるようになる方法はないか」と尋ねました。
そこで、講師が言ってくれたのがこの言葉でした。
「あなたの身体が変わったら、分かるようになる」
「それまで待ったらいい」
だから大丈夫だ、と言ってくれたのを覚えています。
それから、15年が過ぎた今。
本当にそうだったなと感謝しています。
当時と比べると、歩く姿を見る時、色々なことが感じられるようになっているなと思います。
少しずつ、自分の身体が変化し、身体感覚が増えるごとに、人の動きも見えるようになる。
なぜだか違いが分かるようになり、感じられるようになる。
そうやって、少しずつ、見えるものや分かることが増えてきたという感じがしています。
もちろん、今でもそれが継続中ですが。
どなたにも同じことが言えると思います。
ロルフィングなどを通して、身体が変化する。
すると、それまではよく分からなかったことが、なぜか分かるようになっていた、と。
だから、変わってみて、どう見えるようになるのか、どう感じるようになるのか体験してみる。
変わった後の自分で考えてみる。
そんな姿勢も、場合によっては有効ではないかなと思うのです。
変わったら、分かる。
だから、急いで、今すぐ分かろうとしなくていい。
変わった後の、分かる自分になるまで待ってみてもいい。
そう思えるようになること自体にも、身体を変える力があるのかもしれない。
変わっていく方々を見ながら、そう思っています。