Less is better 〜 少ない方が良い

 

ロルファーとしての年数を重ねるうちに、腑に落ちてくる言葉があります。

以前の講義で聞いた内容や、昔読んだ本の中の言葉だったりします。

 

そのうちの一つが、ある講師の方の言葉です。

Less is better 少ない方が良い」

 

セッションにおいて、少ないくらいが良い。

多過ぎるのは、良くない。

そういう意味での言葉だったと記憶しています。

 

「なるほど」と思って聞いていましたが、もっと「なるほど」となってきました。

ロルフィングのセッションに限った話ではないなと分かってきたからです。

 

なんとなく、たくさんの方が良いと思いがちな自分がいます。

しっかりと変化を感じたい。

もっと良くしたい。

できるだけ、伸ばしたい。

より大きく変化したい。

なるべく早く、はっきりと、自分の思う結果を手にしたい。

 

そのような思いが、全体のバランスや調和という点からは、望ましくない結果になることが多いなと感じるようになってきました。

自分自身で身体をケアする時や、日常生活において、もちろんセッション中でも、それを実感します。

 

自分では良かれと思い、頑張ってみたことが、身体に負担をかけ過ぎてしまう。

結果として、バランスを崩し、身体を痛めてしまう。

そんなことになるようです。

 

だから、その時の自分の感覚では少ないと感じる。

または、大した変化だとは思えない。

それくらいの感覚の中で、落ち着いて進めていくことが、実はスムーズな変化に大切なのではないかと思うようになりました。

 

「自分には分からないだけで、それが適度な変化の量なのだろうな」

そう思うようにしてみると、少しずつ、感覚もより細やかになっていき、それが少ない訳ではないと理解できるようになっていきます。

 

自分には、少ししか変化していない、と見えている。

でも本当は、「少ししか」ではなく「適量」かもしれない。

 

そんな観点を少し試してみませんか。

変化への入り口が、少し見えてくると思います。

 

「少し」が「少し」では無いと分かってきたこと。

それが、ロルフィングの経験を重ねてきた中で、大きく変化してきたことの一つです。

 

ハードルを下げたところから

 

「仕事中や、日常の生活を送っている時、緊張しやすく肩の力が抜けない」

「思っているように動けない」

そういった悩みを抱えている方は多いです。

 

はじめは、ハードルを下げてみる。

無理なくできるような環境で、少しだけ成功してみる。

はじめの一歩としては、それで十分だと思います。

 

少しづつ、ハードルが上がっても出来るようになるでしょう。

忙しい日常生活で、やることを沢山抱えて、時間に追われている。

それは、ハードルが高くなった状態だと言えるでしょう。

 

そんな時、肩に力が入り、疲れてしまう。

よくあることだと思います。

 

ただ、ハードルが低い時には、話が変わってきます。

ロルフィングのセッションでは、ハードルが下がった状態になります。

そこでは、肩の力が入っていない自分に出会う確率がぐっと上がります。

 

まず、セッションに来て頂くので、いつもの場所ではないですね。

それだけでも、気が散ることなく、身体の感覚に集中しやすくなるでしょう。

 

また、横になった姿勢は、身体に入る力を減らすことができます。

姿勢を維持するため、身体に固くなる部分がありますが、そこが緩んでいきます。

 

そして、ロルファーが、手で身体に触れます。

人の手で触れられることで、身体は変化していきます。

身体が柔らかくなり、落ち着いてきます。

 

それに加えて、触れながら声をかけて、意識を向けるポイントをお知らせします。

自分だけで身体に注意をむけ、働きかけるよりもやり易くなります。

 

このように、緊張がとけやすい条件が揃ってくると、普段とは違う身体に出会い始めます。

ハードルが低い時に、楽な身体を感じる経験をしてみるのです。

 

まずは、ロルフィングのセッション中だけでもいいので、心地の良い身体を体感してみる。

これが大きな一歩になります。

それを繰り返すうちに、徐々にハードルが上がっても楽な時が出てきます。

 

そして、忙しい日常の生活の中でも、肩の力を入れないで過ごすことができる。

楽に歩くことができる。

落ち着いて、心地よく感じていられる。

 

そうなっているのが感じられる時が来ると思います。

多くの方々が、そのように変化されていったのと同じように。

 

身体の側面を思い出す

 

人の身体には、身体意識がなくなりやすい部分があるようです。

「身体がある」という感覚が薄くなるところです。

 

そういう部分に身体意識が戻ってくると、とても楽になり、新しい動きが可能になることが多いです。

身体の側面は、そんなところの一つだと言えるでしょう。

 

側面があることは、皆さんご存知だと思います。

ただ、その感覚があるでしょうか?

 

ロルフィングのセッションでは、3回目で身体の側面に働きかけます。

「身体の横を意識したことがなかった」

「ここには感覚がなかった」

セッション後に、そんな感想をよくお聞きします。

 

体の側面が伸びやかになると、肋骨の横の部分にも動きが出て、呼吸が楽になります。

また、骨盤や股関節の動きも良くなってきます。

それまでとは違う姿勢になり、違う動きが現れてきます。

 

ロルフィングin京都では、そういった変化を少しずつ確認して頂きながら、セッションを進めています。

繰り返し練習することで、どなたにも違いが感じられるようになるでしょう。

 

そうやって気づきを高め、違いが分かるようになることには、とても大きな意味があります。

自分で、より良い方を選択し、身体を変えていくことが可能になるからです。

 

自分自身で、身体をケアしながら、楽な身体で毎日を過ごせるようになること。

これが、ロルフィングの大きな目標の一つです。

 

身体の側面を思い出すこともまた、その目標に近づくための大きな手がかりとなります。

「身体の横がある」とき、どんな感じの身体になるか、体験してみませんか。

 

パズルのピースを増やす

 

ある動きが思うようにできない時。

または、良い姿勢が楽にとれない時。

そんな時は、何かが足りていないと考えることができます。

 

それは、必要なピースが揃っていないため、うまく絵が完成しないパズルと似ています。

今、自分が持っている身体の感覚を組み合わせても、スムーズに動けない。

楽な姿勢が見つからない。

そんな時は、パズルのピースを増やしてみてはいかがでしょうか。

 

ある人は足に、身体感覚の失われた部分があるでしょう。

また、ある人にとっては、骨盤の内部感覚が失われていたピースだったりします。

いずれにせよ、今の自分の身体感覚の中から消えている部分にあたります。

 

ロルフィングin京都では、失われていたパズルのピースを取り戻していくような作業を心がけています。

 

身体に注意を払い、身体感覚を高くすること。

解剖学的な画像を見て、身体への思い違いに気づくこと。

普段とは、違う動きをしてみること。

これらは、パズルのピースを取り戻していく有効な方法になります。

 

身体感覚が取り戻されることで、無理なく絵が作れるようになるでしょう。

そして、少ないピースで絵を完成させようとして、身体に無理をさせてきたことも感じられるようになります。

何かが少し加わっただけで楽になり、大きく変化する可能性があるのです。

 

継続する不調や痛みがある時、それ以外のところに何か手がかりを見ようとしてみる。

今あるものを増やすだけでなく、ないと思っていたものを思い出してみる。

それが、長い間変わらなかったことを変える手がかりになるでしょう。

 

必要なパズルのピースが揃った時、無理なく、自然に、楽な動きと良い姿勢が現れてきます。

 

全体で一つとしての身体

 

「身体が全体で一つのものとして動いている」

当たり前のことですが、改めて意識するだけの意味があると思います。

 

ほとんどの方が、言葉では、その意味が分かるでしょう。

ただ「それを感じているか」となると、話が違ってくるのではないでしょうか。

 

身体がひとつながりだと感じられるとき、それを感じていない時とは別の感覚に包まれます。

全体で動くほど、身体の機能はより良く発揮されるのです。

 

ロルフィングでは「全体性」という視点を、特に重要だと考えています。

身体は、全体で一つのものとして機能する。

だから、ある部分の問題は、部分の問題とは片付けられない。

そういう視点です。

 

ロルフィングの内容の一つが「筋膜」のバランスを整えることです。

筋膜は、身体全体に広がり、さまざまなものを包み、それらを一つにつなぎ合わせているものです。

この筋膜の存在を知ると、身体が具体的に、ひとつながりだということがイメージしやすくなります。

ある筋膜の部分が固くなると、程度の差はあれ、筋膜全体に影響があるのです。

 

また、姿勢の改善を考える時、身体全体での良いバランスが必要になります。

例えば、足に十分な安定や支えがない時、上半身はバランスをとるために緊張します。

それが理由で肩に力が入ってしまう。

そうなると、肩だけの問題だとは言えなくなりますね。

 

そして、心と身体のつながりという視点も大切です。

不安や怖さがある時、身体が固くなるのは皆さん経験があるでしょう。

心も、身体も含めて、全体で一つの存在だということ。

それらは影響し合うものなのです。

 

「身体がつながっているのが分かる」

「知っていたはずだけど、こんな風に感じたことはなかった」

「身体がバラバラではないと感じる」

「意識や心の状態で、身体が変わるのが感じられた」

ロルフィングのセッションで、よく聞かれる感想です。

 

筋膜のバランスを整え、身体の感覚への気付きを高め、こころの状態にも目を向けてみること。

ロルフィングin京都では、そういった時間を大切にしています。

 

それらを繰り返していくと、全体で一つとして動く身体が少しずつ分かってきます。

変わるごとに、ひとつながりだと感じてなかった自分が見えてきます。

そして、つながりが増えるほど、楽に動ける身体に出会います。

 

部分を集めた身体から、つながりと調和のある身体へ。

それは、自分では知らなかった、本来の身体との出会いになります。

 

風通しの良い身体

 

「風通しが良い感じになった」

「すっとした」

「身体が透明になったように感じる」

「身体の境界がぼやけている」

 

ロルフィングのセッションで、身体が変化した後の、多くの方に共通する感想です。

 

「身体があるけど、ない感じ」

「輪郭がぼんやりしている」

「身体がふわっとして、広がっている」

「身体が軽くなった」

 

これらもまた、多くの方が感じられる感覚です。

そして「だから楽だ」とコメントされます。

 

ロルフィングのセッションで、このような、普段とは違う身体感覚を体験して頂けることが多いです。

そして、それが変化への手がかりとなるのです。

 

このように感じる身体で生きたらどうなるか?

身体の痛みや硬さ、しんどさはどうなるか?

姿勢はどう改善されるのか?

 

身体の持つ、新たな可能性をみてみませんか。

 

目盛りの小さな物差しを手にする

 

これまでは感覚のうちに入ってなかった感覚に気付くこと。

ロルフィングセッションでは、これを練習していきます。

それが、健康に生きていくことや、動きの改善に大きく役立つからです。

 

「痛みがあるか無いか」を例に、考えてみましょう。

 

痛みは、感覚として分かりやすいので、そこに問題があると認識できます。

反対に、痛みがない部分は、問題がないと思いがちです。

痛みを感じない時は、身体に注意を払わないことが多いのではないでしょうか。

 

しかしながら、同じ「痛みが無い」場合でも色々な可能性があります。

例えば「とても調子が良く」痛みがない場合と、「なんとなく調子が悪いけど」痛みがない場合。

 

「痛みが有るか無いか」だけで判断すると、痛みがないから問題ないと言えます。

でも、これらは同じコンディションではないですね。

 

なんとなく調子が悪い時は、痛みが出る状態に限りなく近い「痛くない」かもしれません。

もし、それに気づいたならば、無理をしないで休む選択もできるのです。

それにより、体調を崩すことを回避できるとしたら、体調管理という点で、とても大きな意味がありますね。

 

また、動作の改善という視点でも考えてみましょう。

 

やり慣れたことは、普段の慣れた感覚で、いつものように繰り返していることが多いと思います。

いつもと同じように見えるのです。

 

だから、そこに何か新しい動きが現れていても気づきにくいのです。

本当は、姿勢や歩き方が変わっていても、それは目に映りません。

 

一見いつもと同じ動きの中にある、これまでは感じられてなかった感覚に気づくこと。

それができると、新しい動き方のイメージが浮かんだり、無意識に力を入れていたことに気づいたりします。

情報量が増えてくることで、選択肢が増え、可能性が大きく広がります。

 

このような理由から、これまでは感じられてなかった感覚に気づくことには、大きな意味があるのです。

そして、そうなるには、これまでとは違う目盛りの物差しを持つ必要があります。

 

心身ともに落ち着いた状態で、身体に注意を向けてみる。

すると、かすかに、いつもとは違う何かが感じられます。

ロルフィングのセッションでは、そうやって、目盛りの小さな物差しを手にする練習をしています。

 

自分の物差しで測ることができる感覚を探すかわりに、物差しの目盛りを小さくしてみる。

すると、すでに起きていた変化が見えてきます。

そこに、変わっていくための大きなヒントがあります。

 

良くなった姿勢は、また戻ってしまうのか?

 

「姿勢が良くなったとしても、しばらくすれば、また同じ状態に戻ってしまうのではないか?」

ロルフィングを受ける前に、多くの方がこんな心配をされるのではないでしょうか。

やっても、結局のところ意味がないのだろう、と。

 

良い姿勢になろうと、さまざま方法で頑張りながらも、疲れて、諦めてしまった経験をお持ちの方も多いと思います。

そんな過去の体験が、これも同じではないかと思わせてしまうのですね。

 

結論から言えば、同じことにはならないと思います。

その理由を、ロルフィングの特徴を踏まえてお伝えします。

 

まず、ロルフィングの大きな特徴が「身体全体のつながり」を取り戻すこと。

身体が一つにつながっているのは皆さんご存知ですね。

では、それを実感したことはあるでしょうか?

 

身体がひとまとまりで動くよう、つながりを取り戻すこと。

これは、当たり前すぎて見過ごされやすいですが、良い姿勢に欠かせない条件です。

それを感じられる身体になることには、大きな価値があります。

 

また「重力と調和した身体」を目指すこと。

この重力の調和という視点もまた、ロルフィングのユニークなところです。

 

重力と良い関係を持っているか。

それが良い姿勢になれるかどうかの大切な基準になります。

 

重力との関係に目を向けると、効率の良い立ち方や動き方が見えてきます。

無理な力を入れなくても、よい姿勢になれるので、リラックスできる身体になります。

 

筋力だけでは作り出せないバランス。

重さの感覚という新しい視点が、それを可能にしてくれます。

 

そして、身体に備わっている「本来の動き」を手にする練習をすること。

習慣を見直し、癖を手放していくのです。

 

日常の動き方の癖が、姿勢に影響していることは、皆さんも理解されていると思います。

ここが変われば、姿勢は以前と同じ状態には戻りません。

 

身体の使い方が良くなれば、身体の形もそれに合わせて変わります。

無理なく、自然に動いている時、姿勢も自然に良くなっていくのです。

 

ただ、誰にでも、自分だけでは気付きにくい癖や習慣があります。

自分では何もしているつもりがないから、自分には見えない癖。

 

しかし、そこにこそ、変化を妨げてきた大きなブレーキが隠れていることが多いのです。

それに気づき、手放していけることが、ロルフィングの大きな価値だと思います。

 

最後に、ロルフィングで高まるのが、やはり「身体の柔軟性」。

触れた時の身体の硬さが、回を重ねる度に和らいでいくのが感じられます。

柔らかな身体は、動きの可能性が高まります。

 

そんな身体は、働きかけたときの反応も速くなっていきます。

打てば響く身体になっていくような感じでしょうか。

 

以前と同じワークをしても、はるかに短い時間で変化するようになっていきます。

その反応する力は、身体に記憶され、消えてしまうことがないように感じます。

 

このように、ロルフィングは、重力と調和した、楽に動ける身体に変化していくプロセスです。

正しい、理想的な姿勢(形)を作り、維持しようと頑張ることはしません。

それでも、結果として、いわゆる良い姿勢になっていくのですが。

 

その時に合わせて、最適な姿勢になれるように、身体の適応力が上がっていくのです。

「良い機能を持った姿勢」になっていくとでも言えるでしょうか。

 

そういう視点から「良い姿勢」を定義すれば、回を重ねることで、より良い姿勢になり続けられると言えます。

だから、ロルフィングを受けて時間が経つと、以前と全く同じような状態に戻ってしまう。

やっても意味がない。

そういった心配はなくても大丈夫だと思うのです。

 

地に足がつく

 

「地に足がつく」という言葉。

身体と心の感覚で、それがどういうことか、味わってみませんか。

 

ロルフィングの10シリーズでは、2回目のセッションで足を扱います。

初期の頃は、1回目に行われていたようです。

それくらいロルフィングで、足は重要視されています。

 

足が、本来の機能を果たし、身体の重さが、足から地面にスムーズに伝わっている時、身体は安定します。

そして、安心して、足に体重を預けられるとき、呼吸も深くなり、落ち着きます。

 

膝も、腰も、肩も、首も、頭も、足の上にのっています。

足は、身体の土台となる部分です。

そういう視点からは、身体全体のバランスにとって、足がいかに大事なのかが分かると思います。

 

足首を捻挫しやすい。

足裏を均等につけない。

靴底の減りが偏っている。

足が冷える。

O脚である。

土踏まずのアーチがなく、扁平足だ。

足首がかたい。

 

足に関しての悩みはさまざまです。

いずれも、足の本来の機能が発揮されていない状態だと言えます。

 

ロルフィングでは、これまで眠っていた足の機能が目覚めるように、問いかけます。

 

足と足首の仕組みを知り、これまでとは違う視点で見て、感じる。

何となくこういうものだと思い、感じ慣れてきた足のイメージから、少し離れてみる。

 

そんなことが、実は効果的なのです。

 

知っていたはずの、感じ慣れていたはずの足が違って見えてきます。

すると、動きも変わってきます。

 

足の中にクッションが入っている感じになる。

足の中の小さな骨が、色々と動いているのを感じられる。

かかとに重心が置けるようになる。

 

また、歩くのに、つま先を使えるようになり、脚がちゃんと伸ばせるようになる。

足首の関節の動きを感じ、ちゃんと使えるようになる。

上半身が楽になる。

そんな変化が現れてきます。

 

変化した足は柔らかくなり、いろいろな動きが起きているのが感じられます。

それでいて、しっかりして、安定していると感じられるのです。

 

柔らかくて、それでいて、しっかりしているという、一緒にあるはずはないと思っていた感覚の組み合わせ。

それを感じることに、驚く方は多いです。

しっかりしようと力を入れ、足を固くしていると、出会えない感覚だと思います。

 

安定と固定は違いますね。

免震構造のある建物をイメージしてみて下さい。

さまざまな動きがあるから、揺れを吸収し、倒れないのです。

 

足が安定して地面についているとき、身体は安定します。

安定した身体には、静かな落ち着きと安心感が広がります。

 

「地に足がつく」という言葉の意味を、そんな身体になってから、改めて感じてみて下さい。

それまでとは違う「地に足がつく」に出会っていることでしょう。

 

考える世界から、感じる世界へ

 

「なるほどね」

「そういうことか」

ロルフィングで身体が変わり、新しい感覚に出会った時によくお聞きする言葉です。

 

頭では知っていたはずのことが、本当は分かっていなかったと感じる。

あるいは、長らく気になっていた言葉や、理解できなかった内容が、ふと分かる。

腑に落ちるという表現がありますが、そんな感じの時、出てくる言葉だと思います。

 

うまくいかないことは、色々と考え、試しながら、できるようになっていきます。

それでも、長いあいだ変化しないことがある場合、同じやり方を、同じ感覚のままで、続けない方が良いようです。

その時の自分が思いつく範囲内には、その答えがないことが多いからです。

 

僕も、長くできなかったことが良い方に変化する時、いつも同じことを感じます。

「なるほどね」

「そういうことか」

そして、これまでのように考えていただけでは出来なかっただろうな、と思うのです。

 

そんな時に起きた変化は、それまでの考え方や、物の見え方の延長にあるという感じがしません。

むしろ、自分の考えていたことや、なんとなく持っていたイメージ、慣れていた感覚の外に出られて、ようやく変化できたという印象です。

 

これまでに無かった視点で見ている。

無意識で持っていた思い込みに気づいている。

言葉の持つ意味が変わっている。

それが感じられるからです。

 

そんな理由から、まずは、絶えず考えている状態から少し離れてみること。

慣れている感覚とは違う感覚になってみること。

そうやって、自分をいつもと違う状態にしてみることが、変化を促すのに効果的だと思うようになりました。

 

そのために、ロルフィング in 京都のセッションでは、今の身体の感覚に目を向ける時間を大切にします。

考え続けていた世界から、感じる世界へ、ほんの少しづつ移動してみるのです。

はじめは、大して意味がないことに思えるかもしれませんね。

 

しかしながら、ほんの少し、いつもとは違う感じ方をしてみると、これらの言葉の出会い始めることでしょう。

「なるほどね」

「そういうことか」

それは、これまでの自分の知覚の枠から、少しだけ外に出るための、大きな一歩になります。

 

自分の視点や感じ方から解放されると、身体が変わること。

これまで自分が考え、感じていたことが続いていく訳ではなく、それ以外の自分や身体の状態、そして世界が存在すること。

 

感じる世界では、そんなことが分かってくるように思います。

穏やかな解放感と共に。