呼吸の大切さは、さまざまなところで説かれていますね。
浅い呼吸に悩み、楽に呼吸ができるようになりたいと思っている方は多いと思います。
また、健康になるため、深い呼吸ができるようになりたいと練習している方もいらっしゃるのではないかと思います。
僕自身も、呼吸が浅いことに気づいてから、深呼吸できないことに悩みました。
本に書かれているように呼吸法を練習し、頑張ってみるけど上手くできない、余計苦しくなるというのが、僕のいつものパターンでした。
今になると分かるのですが、深く呼吸をしようという思いで、身体が緊張してしまい、逆に楽な呼吸から遠ざかってしまう結果になっていたようです。
ロルフィングセッションでも、同じ傾向がある方にお会いすることが多いです。
だから、ロルフィングに来て下さるのだと思いますが。
セッション後に、「息が楽にできる」「自然に呼吸している」という感想をお聞きすることが多いです。
「普通に呼吸しているつもりだった」「苦しいと思ってなかったけど」という場合も結構ありますね。
身体が変化し、楽になってみると、息が浅く、呼吸が楽に出来てなかったことに気付きやすくなるようです。
人には、比較する対象ができて、差を感じることで、ようやく感じたり、違いが分かったりする仕組みがあるのだろうなと思います。
また、違いを感じるには、それを感じる回路や感覚が育ってくる必要もあるのだなと、これまでの経験の中で実感するようになりました。
そんな理由で、僕は、ロルフィングセッション中に、身体の感覚に目を向け、違いを感じてもらう時間をできるだけ取るようにしています。
そして、その作業には大きな価値があると、年数を重ねるにつれて、ますます良く分かってきました。
ところで、深い呼吸をすることと、大きく呼吸することは違うものだと思います。
人が楽に呼吸しはじめると、静かになっていくのを感じます。
そしてゆっくりとした感じになり、呼吸が全身に広がっていくような感覚に変わります。
そんな時は、自分が呼吸をしているというより、呼吸が起きているのを眺めているような感じに近いかもしれません。
「ちゃんと呼吸しよう、たくさん吸って吐こう」と思うことで、気付かないうちに作り出していた緊張に気付けるとよいですね。
まずは落ち着き、静かになってみることが、深い呼吸になるスタートだと思います。
そこで初めて、楽に、深く呼吸をする自分の身体に出会い始めることになるでしょう。
その時には、「深呼吸とはこういう感じだろう」と思うともなく思い、探し求めていたものとは違う感覚が広がっているだろうと思います。
それは、僕がそうだったように、「だから深呼吸ができなかったのか」と腑に落ちる体験となり、ほっと息をつける瞬間を与えてくれるのではないでしょうか。