私は60歳を迎えた頃、右膝に鈍痛が出て、右足をかばう歩き方になっていました。

かといって、病院に行っても「歳ですね」と言われるのがオチだと思い、一週間に一度の割合で整体院に通いだしました。

 

施術をうけた当日は気持ちがいいのですが、それが続くのも2〜3日で、一週間たった頃にはもとに戻ります。

「私はこれからずーっと この痛みと一緒に生活していくしかないなー。もうヒールのある靴もはけない!」と気持ちが沈んでしまいました。当時はこの痛みがなくなることは想像できませんでした。

 

そのころ、偶然にインターネットで「ロルフィング」というものがあるのを知りました。 初めて聞く言葉で、その説明に依ると、「筋膜リリースをして、身体の全体統合をはかる」????

 

さっぱり意味がわからないし、それに、施術代金も整体に比べて高額だったので、一度だけ試しで受けてみて、自分に合わなければ、やめたらいいわと思いました。

そして、一回目を受けてみた印象は、よくわからないけど悪くはなさそうと思ったので、少し続けて様子を見ることにしました。

 

整体院のように悪い膝にさわることがまったくないので、内心これでいいのかな?という疑問が頭をかすめましたが、そのうち、息をするのが楽になり、体全体がなんとなくスムーズになり、歩くのに力がいらなく、気持ちも楽になり、そうしていつのまにか、膝はまったく痛くなくなっていました。

 

また、自分がこれまで自身の体に、全く注意を向けずにすごしてきたな~と、深く認識しました。

というのが、ロルフィングは、ただドテっとベッドに寝ているのではなく、何度も歩いてみたり、感じたりすることを促されます。

それが、私が自分の身体と向き合い、そして結果的には、心と真正面から向き合うきっかけをつくってくれました。

 

現在、私は、70歳です。この10年間、つかずはなれずの間隔で、ロルフィングとはつながっています。

私は現在身体に悪いところはないので、ロルフィングは必要ないとも考えられるのですが、今は心が滞ってきたなと思ったときに受けています。

 

変に聞こえるかもしれませんが、セッションを受けると、身体の安定感と柔軟さがよみがえると同時に、心にも安定感という変化が生じてくるのです。

これは受けてみないとわからないところかもしれませんが。

 

忍さんは 「心が滞っているなと感じる時というのは、自分では体は悪くないと思っていても、身体にも、何かしらの影響が出ているのです。」とおっしゃいました。

この言葉をきいて、ここまで心と体が表裏一体だったとは、と目から鱗がおちるようでした。

 

セッションを受ける前の心の状態が「なにか嫌なことが起こったらこまるな~」と漠然と思っている状態としたら、受けた後は「なにが起こっても大丈夫、というより、何が起こるか などまったく気にならない状態」になります。

 

自然に大きな安心感が、心の底からわきあがってくるのです。私が言っている、心の滞りがなくなった状態です。

 

ロルフィングのセッションを受けて、深い呼吸に自信がついたおかげで、それまで苦手意識があった、歌の教室に通う決心をしました。66歳でした。

 

技術面はさておき、発声練習で、声がよく出ている、とほめられております。

そうして、一年に一度の発表会の舞台で、ヒールのある靴をはいて、ソロを披露しています。

何もできなかった時を思えば、夢のようです。

 

また、今年の春から、これもはじめての水彩画を習いだしました。

そして、年齢を言うと、「若いですね~」といわれ、同じ年齢の人より、元気で若くみられるようです。

絵も人生に花をそえてくれるといいなと思っております。

 

人より下手だったらはずかしいな~とか、年だからやめておこう、という発想は、今はどこかに行ってしまいました。

それも、こころの滞りが少なくなったおかげでしょう。

 

以前は、劣等感いっぱいの人間だったのですが、現在は、人の思惑に左右される必要はない、という思いが自然に湧くし、それを躊躇せず、行為に移すことができるようになりました。

 

ひろこさん

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